【SAP FI】消込処理

SAPでは、日々の取引（債権・債務など）を仕訳として計上しますが、それらの勘定が永遠に未消込明細(=オープンアイテム)としてシステム上に残るわけではなく、最終的には消込される必要があります。

それでは、SAPにおける「消込処理」とは、どのような仕組みになっているのでしょうか。

自動消込(Automatic Clearing)とは

トランザクションコード：F.13

SAP FI（財務会計）で管理されるオープンアイテム（未消込の明細）は、あらかじめ設定した条件に基づいて、システムが自動的に突き合わせ・消込を行います。

では、具体的にどの勘定が自動消込の対象になるのでしょうか。

多くのプロジェクトでは、一時預り金、仮受消費税、仮払消費税、仮勘定などが自動消込の対象として設定されるのが一般的です。

実際のプロジェクトにおいて、どの勘定を自動消込対象にするかは勘定マスタの設定に依存します。そのため、必ずユーザ部門に確認することが重要です。

自動消込実行画面：トランザクションコード：F.13 (赤枠は重要箇所)

別記事で、BPマスタや勘定マスタについては解説しているので併せてチェックしてみてください。

自動消込の前提条件

日々の取引は件数が多いため、どの勘定が自動消込の対象となるのか、システムがどのように判断するのかを理解しておく必要があります。

さらに、どの明細とどの明細を突き合わせて消込できるのか、いわゆる「消込のルール」は何かを明確にすることが重要です。

以下では、自動消込の前提条件について説明します。

勘定マスタの設定

トランザクションコード：FS00

自動消込の対象にしたい勘定科目には必ず明細消込管理のチェックを入れてください。

マッチングキーの設定

自動消込の追加ルール変更 (T-CODE：OB74)

こちらのカスタマイズで自動消込のルールを指定することができます。

マニュアル消込(Manual Clearing)とは

SAPでいう 「マニュアル消込（Manual Clearing）」 は、自動消込（F.13）で処理できなかったオープンアイテムをユーザーが手動で対応関係を判断して消込する処理のことです。

マニュアル消込の代表的トランザクション

• F-32：得意先消込
• F-44：仕入先消込
• F-03：総勘定元帳勘定消込

自動消込で処理できなかった未消込明細(オープンアイテム)を、手動で消込していきます。

例　トランザクションコード：F-32

次画面に入ると、標準、一部入金、残余明細、源泉徴収税という４つのタブがあります。

それぞれの区別は以下になります。

まとめ

SAPにおける消込処理は、大きく 自動消込 と マニュアル消込 に分けられます。

• 自動消込は、勘定設定や照合キーなどの条件が整った未消込明細(オープンアイテム)をシステムが自動的に突き合わせて処理するもので、日々大量に発生する取引の効率化に不可欠です。
• マニュアル消込は、自動消込では処理できなかった差異や例外の未消込明細(オープンアイテム)を人が判断して消込する方法で、例外処理や調整に必要な手段です。

両者の仕組みと使い分けを理解することで、業務効率の向上や正確な未消込管理が可能になります。