SAP COモジュールとは?【COナレッジまとめ】

この記事を読むメリット

  • 初心者向け:COの概要が理解することができます。
  • 中級者以上向け:CO関連のマスタ・テーブル関連図・トランザクションコードに関するナレッジを知ることができます。
レイナ

SAPのCOモジュールってどのようなものなんだろう?
原価会計の基本と合わせて初心者でも分かるように教えてもらいたいな。

SAPのERP(S/4HANA)のモジュールで代表的なモジュールのひとつである、CO:管理会計。 どのようなものかイメージつかない方も多いかと思います。 とくに会計知識をあまりお持ちない方にとっては、難しい概念かもしれません。

そこで、この記事では、SAP COモジュールについて概要を詳しく解説していきます。

本記事では、COに関する実際のプロジェクト業務で使える以下のようなナレッジについてもまとめています!
・よく使われるトランザクションコード
・CO関連のテーブル
・COでよく使われるマスタ
・COと関連が強いモジュール

上記の通り、初心者だけでなく実際に業務をされている中級者の方にも役立つ情報をお届けします。

博士

SAPのCOモジュールをマスターしたい人は、このページをしっかりチェックすることをオススメするぞい!

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この記事のポイント

SAP CO(管理会計)モジュールとは?

そもそも管理会計とは?

管理会計とは、経営者や現場責任者が経営判断の材料として活用することを目的とした内部管理用の会計です。情報を参照する対象者は経営陣や管理職であるため、各企業独自の業績評価指標に従った形式で作成し、分析をすることが多く、その企業の考えが色濃く反映されます。

SAP COモジュールの役割(SAP FIモジュールとの違い)

SAPのCO(管理会計)モジュールは、企業の管理会計や予算/見込に関連する機能を提供する重要なモジュールです。COモジュールは、企業の内部経済活動を追跡し、コスト管理、収益管理、および予算管理を行うための機能を提供します。

SAPのFI(財務会計)モジュールとの違いは、FI(財務会計)モジュールが外部公表の財務諸表などの情報提供のために使われる機能であるのに対して、CO(管理会計)モジュールが経営の判断材料になる資料・レポートなど、内部向けの情報提供のために使われる機能である点が大きな違いになります。

FIモジュールについてはこちらの記事で解説してますので、併せて読むことで理解が深まります。

SAP COモジュールの基本機能

ここでは、COモジュールを構成するサブモジュールの機能群をみていきます。

間接費管理(CO-OM)

SAPのCOモジュールの間接費管理(CO-OM: Overhead Management)は、企業の間接費用を効果的に管理するための機能を提供するSAP CO(管理会計)サブモジュールの1つです。

間接費用は、製品やサービスの直接的な生産に関わらないが、企業運営に必要な費用です。これには、管理費、設備費、間接労務費などが含まれます。CO-OMモジュールは、これらの費用を追跡、配分、分析するための機能を提供します。

原価要素会計(CO-OM-CEL)

SAPの原価要素会計(CO-OM-CEL: Cost Element Accounting)は、企業の費用と収益を分類し、追跡するための基本的な構造を提供するSAP CO-OMモジュールの重要な機能群です。原価要素会計は、コストと収益を「原価要素」として管理し、それらを詳細に分析することを可能にします。

原価要素についてはこちらの記事で解説していますので、併せて一読すると理解が深まります。

原価センタ会計(CO-OM-CCA)

SAP原価センタ会計(CO-OM-CCA: Cost Center Accounting)は、企業の各部門や活動タイプ別のコストを詳細に追跡し、管理するための機能を提供するSAP CO-OMモジュールの重要な機能群です。この機能により、原価センタ別に企業は費用を正確に把握し、各部門のコストパフォーマンスを評価することができます。

原価センタについてはこちらの記事で解説していますので、併せて一読すると理解が深まります。

活動基準原価計算(CO-OM-ABC)

SAP活動基準原価計算(CO-OM-ABC: Activity-Based Costing)は、企業の製品やサービスに関連する間接費用を、具体的な活動量に基づいて正確に配分するSAP CO-OMモジュールの重要な機能群です。従来の原価計算手法では難しかった間接費用の詳細な配分を可能にし、製品やサービスの実際のコストをより正確に反映します。

活動基準原価計算で用いる活動タイプについてはこちらの記事で解説していますので、併せて一読すると理解が深まります。

内部指図(CO-OM-OPA)

SAP内部指図(CO-OM-OPA: Internal Orders)は、特定のプロジェクト、特定のタスク、または特定のイベントに関連するコストを追跡し、管理するためのSAP CO-OMモジュールの重要な機能群です。内部指図は、原価センタ会計や原価要素会計と連携して、特定の活動に関連するコストを詳細に管理します。

製品原価管理(CO-PC)

SAP製品原価管理(CO-PC: Product Cost Controlling)は、製品やサービスの製造にかかるコストを詳細に計算し、管理するためのSAP CO(管理会計)サブモジュールです。このモジュールは、製造業やサービス業におけるコスト計算、原価見積、標準原価管理を支援し、企業の標準原価管理と製造原価分析に貢献します。CO-PCはPPモジュールとの関連性が高いCOのサブモジュールです。

収益性分析(CO-PA)

SAP収益性分析(CO-PA: Profitability Analysis)は、企業が製品、顧客、市場セグメント、販売チャネルなどの収益性を詳細に分析するためのSAP CO(管理会計)サブモジュールです。CO-PAは、企業が収益性に基づいた意思決定を行うための強力な分析機能を提供します。CO-PAはSDモジュールとの関連性が高いCOのサブモジュールです。

利益センタ会計(EC-PCA)

SAP利益センタ会計(EC-PCA: Profit Center Accounting)は、企業の各利益センタ別の財務パフォーマンスを分析・管理するためのモジュールです。一般的にCOモジュールとして分類されることが多いです。利益センタは、収益および費用を管理し、独立した利益責任を持つ組織単位です。SAP利益センタ会計を使用することで、企業は部門や製品ライン、地域ごとの収益性を詳細に把握し、戦略的な経営判断を支援することができます。

SAP COでおさえておきたいトランザクションコード

COでは多数のトランザクションコードが使用されています。

代表的なトランザクションコードを下記の記事で一覧化していますので、ぜひチェックしてみてください。

SAP COで使うテーブル関連図

SAPではカスタマイズデータ・マスタデータ・トランザクションデータはテーブルに格納されています。

以下ではCOモジュールで使用されているテーブルの紹介とテーブル関連図の解説記事へのリンクをまとめているので、ぜひ参考にしてみて下さい。

テーブル関連図リンク概要
CO組織
(CO Organization)
COモジュールの組織情報についてのテーブル関連図。
(Ex. 分析対象・管理領域・会社コード)
原価センタ
(Cost Center)
原価センタについてのテーブル関連図。
利益センタ
(Profit Center)
利益センタについてのテーブル関連図。
配賦周期
(Assessment Cycle)
配賦周期についてのテーブル関連図。
CO伝票
(CO Document)
CO伝票についてのテーブル関連図。
原価要素
(Cost Element)
原価要素についてのテーブル関連図。
活動タイプ
(Activity Type)
活動タイプについてのテーブル関連図。
統計キー数値
(Statistical Key Figure)
統計キー数値についてのテーブル関連図。
原価積上
(Costing Runs)
原価積上についてのテーブル関連図。
品目評価
(Material Valuation)
品目評価についてのテーブル関連図。
収益性分析
(Profitability Analysis)
収益性分析についてのテーブル関連図。
品目元帳
(Material Leader)
品目元帳についてのテーブル関連図。
COのテーブル関連図

SAP COのマスタ設定

SAPではマスタデータを事前に登録することでトランザクションデータを反映できる構造になっています。
COモジュールでいうと、部門情報としての原価センタや利益センタを登録した上で、該当の原価センタや利益センタにコスト金額を登録したりします。

以下ではCOモジュールで使用するマスタを紹介しています。

(マスタの使用方法は、今後拡充する予定です。)

マスタ設定概要
原価センタ
(Cost Center)
会社のコスト管理する単位になります。
利益センタ
(Profit Center)
会社の利益を管理する単位になります。
活動タイプ
(Activity Type)
製造活動における加工費などの活動工数などを管理する単位になります。
統計キー数値
(Statistica
l Key Figure)
配賦・付替の際の按分基準値を管理する単位になります。
原価要素
(Cost Element)
原価の属性、原価の構成要素を管理する単位になります。
内部指図
(Internal Order)
内部指図に関連する各種マスタ設定になります。
COのマスタ設定

SAP COと関連が強いモジュール

財務会計(FI)

FIモジュールでは発生した費用や収益を管理します。FIモジュールで原価センタへの費用計上を通じて、COモジュールにデータが流れてきます。COモジュールに最も関連性が高いモジュールがFIモジュールになります。

以下ではFIモジュールに関するナレッジをまとめています。

販売管理(SD)

SDモジュールでは顧客からの受注-出荷-請求を管理します。受注に基づいて出荷処理、請求処理が行われることでCO-PA(収益性分析)にデータが連携されます。これにより販売した品目や地域や販売チャネル別の収益性を分析することができるようになります。

以下ではSDモジュールに関するナレッジをまとめています。

生産管理(PP)

PPモジュールでは、製造指図やプロセス指図などに基づく、製造管理を行います。製造実績の登録や完成品入庫処理に基づいて、CO-PCにもデータ連携し、品目を製造するためにいくらの標準原価、実績原価が発生したのかについて分析することができる様になります。

以下ではPPモジュールに関するナレッジをまとめています。

まとめ

SAP COモジュールは、企業のコスト管理と収益性分析を強化し、効率的な経営管理を実現するための多くの機能群を提供します。これにより、企業はコストの透明性を高め、収益性を向上させ、戦略的な意思決定をすることが可能になります。

ここで解説したナレッジがプロジェクトの成功の一つの種になれば幸いです。

博士

COのまとめは以上じゃ!

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この記事を書いた人

SAPコンサルタント(経験:FI/CO/ABAP)
米国公認会計士(ワシントン州)

新卒でSIerに入社して、初配属がSAPプロジェクト。その後ITコンサルファーム、不動産スタートアップを経て、システムコンサル会社を起業。

新卒時代にSAPを勉強したくても、SAP情報サイトが少なくキャッチアップに苦労した経験から、SAPをなるだけ簡単にわかりやすくをモットーにSAPラボを運営しつつ、SAP業界の裾野を広げるべく活動中!

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