この記事を読むメリット
- 初心者向け:FIの概要・基本を理解することができます。
- 中級者以上向け:FI関連のマスタ・テーブル関連図・トランザクションコードに関するナレッジを知ることができます。
このページではFIのナレッジをまとめていくぞい。
ぜひ、ブックマークするんじゃ!
SAPシステムの数多くあるモジュールの中でも、代表的なモジュールであるFI(財務会計)。薄っすらとどのようものか知っていても、ひとつひとつを細かく説明できる方は少ないかもしれません。
今回はそんなSAP FIモジュールの概要を解説していきます。
本記事では、FIに関する実際のプロジェクト業務で使える以下のようなナレッジについてもまとめています!
・よく使われるFIトランザクションコード
・FI関連のテーブル
・FIでよく使われるマスタ
・FIと関連が強いモジュール
初心者だけでなく、中級者以上の方にも役立つ内容となっています。
SAP FI(財務会計)モジュールとは?まずは基本をしっかり知ろう
FIモジュールの役割・目的
SAP-FI(財務会計)とは、日々の取引を記録し、最終的に財務諸表や税務報告を作成することを目的とした、外部向けの情報を提供する会計機能群です。情報を参照する対象者には、経営者はもちろんのこと、外部の投資家なども企業が公開する財務レポートを分析し、株式を購入する際の重要な資料として利用します。
SAPシステム全体の中でのFIモジュールの位置づけ
SAPのFI(財務会計)モジュールは、企業の日々の取引管理、税金の計算などを支援する重要なモジュールです。FIモジュールは、企業の債務、債権、固定資産の管理を行うための機能を提供します。
SAPのCO(管理会計)モジュールとの違いは、CO(管理会計)モジュールが経営の判断材料になる資料・レポートなど、内部向けの情報提供のために使われる機能であるのに対して、FI(財務会計)モジュールが外部公表の財務諸表などの情報提供のために使われる機能である点が大きな違いになります。
SAP FIの代表的なサブモジュール
ここでは、FIモジュールを構成するサブモジュールの機能群をみていきます。
FI-GL:総勘定元帳
SAPのFI-GL(Financial Accounting – General Ledger)サブモジュールは、財務会計における総勘定元帳の管理を行うモジュールです。
このモジュールは、売上や買掛、経費、資産などの全ての取引を記録し、取引を適切な勘定科目に割り当てることで、企業の財務状況を正確に把握できるようにします。さらに、総勘定元帳のデータを基に、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を自動生成する機能を備えています。
FI-AP:買掛金管理
SAPのFI-AP(Financial Accounting – Accounts Payable)モジュールは、仕入れや支払いに関する業務を効率的に管理するための機能を提供します。このモジュールの主な役割は、請求書の管理、支払い処理、BPの管理、レポート作成、そして監査対応です。
具体的には、仕入れた商品の請求書を受け取り、その内容を確認してSAPで債務転記します。また、BPへの支払いを管理し、支払い期日通りに支払処理をし、効率的な資金管理を実現します。支払い状況や未払い請求書の分析を行うためのレポートも生成します。さらに、取引履歴や請求書の記録を保持することで、監査対応もできます。
このAPモジュールは、MM(Materials Management)モジュールと連動しおり、リアルタイムでデータを更新することができます。また、外貨取引にも対応し、適切な為替レートでの債務計上が可能です。
SAPのAPモジュールは、企業の仕入れや支払い業務を正確かつ効率的に管理し、資金の流れを把握することで財務健全性を維持するための重要なサブモジュールとなっています。
APモジュールはMMモジュールと関連しており、こちらの記事で解説していますので、併せて一読すると理解が深まります。
FI-AR:売掛金管理
SAP FI-AR(Financial Accounting – Accounts Receivable)は、SAPの財務会計モジュールの一部であり、売掛金の管理を行うための機能を提供します。このモジュールは、顧客との取引を記録し、請求書の発行、入金の追跡、債権管理を行うための重要なモジュールです。
売掛金管理は、企業のキャッシュフローに直接影響を与えるため、その重要性は非常に高いです。効率的な管理が行われない場合、資金不足や経営の不安定化を招く可能性がありますので、FI-ARを活用することで、企業は売掛金の管理を効率化し、資金繰りを改善することが可能です。
このARモジュールは、SD(販売管理)と連動しており、SD(販売管理)についてはこちらの記事で解説していますので、併せて一読すると理解が深まります。
FI-AA:固定資産管理
SAP FI-AA(Financial Accounting – Asset Accounting)は、SAPの財務会計モジュールの一部で、固定資産の管理を効率的に行うための機能を提供します。このモジュールは、固定資産のライフサイクル全体を追跡し、財務報告や税務申告に必要なデータを正確に記録します。
固定資産の取得、減価償却、除却などの管理が不十分だと、資産の価値の減少や過剰な維持費用、さらには財務報告の誤りにつながる可能性があるため、FI-AA(固定資産管理)が担う役割は重要です。
FI-BL:銀行勘定
SAP FI-BL(Financial Accounting – Bank Accounting)は、SAPの財務会計モジュールの一部であり、銀行取引に関連する機能を提供します。このモジュールは、銀行口座の管理、入出金の処理、そして銀行明細書の調整を効率的に行うためです。
銀行勘定の管理は、企業の資金繰りやキャッシュフローに直接影響を与えます。正確な銀行勘定管理が行われない場合、資金不足や誤った財務報告が発生する可能性があります。
銀行マスタについて、こちらの記事で解説していますので、併せて一読すると理解が深まります。
FI-FM:資金管理
SAP FI-FM(Financial Accounting – Funds Management)は、SAPの財務会計モジュールの一部であり、企業の資金管理を効率化するための機能を提供します。このモジュールは、予算管理、資金の流入と流出の追跡、資金の使用状況の分析を行います。
資金管理(Funds Management)は、企業の資金の流れを計画、監視、管理するプロセスです。これにより、企業は資金の利用状況を把握し、予算の策定や資金の調達、支出の管理を効率的に行うことができます。適切な資金管理は、企業の財務健全性とキャッシュフローの安定化に繋がっています。
SAP FIでおさえておきたいトランザクションコード
FIでは多数のトランザクションコードが使用されています。
代表的なトランザクションコードを下記の記事で一覧化していますので、ぜひチェックしてみてください。
SAP FIで使うテーブル関連図
SAPではカスタマイズデータ・マスタデータ・トランザクションデータはテーブルに格納されています。
以下ではFIモジュールで使用されているテーブルの紹介とテーブル関連図の解説記事へのリンクをまとめているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
テーブル関連図リンク | 概要 |
---|---|
G/L勘定 (G/L Account) | G/L勘定マスタについてのテーブル関連図。 |
会計伝票 (Accounting Document) | 会計伝票についてのテーブル関連図。 |
未転記伝票 (Parking Document) | 未転記伝票についてのテーブル関連図。 |
通貨(Currency) | 通貨マスタについてのテーブル関連図。 |
銀行 (Bank) | 銀行マスタについてのテーブル関連図。 |
支払条件 (Payment Terms) | 支払条件についてのテーブル関連図。 |
自動支払 (Automatic Payment) | 自動支払についてのテーブル関連図。 |
SAP FIのマスタ設定
SAPではマスタデータを事前に登録することでトランザクションデータを反映できる構造になっています。
以下ではFIモジュールで使用するマスタを紹介しています。
(※マスタ解説記事は、今後拡充する予定です。)
マスタ設定 | 概要 |
---|---|
会社コード (Company Code) | 法人を管理する単位になります。 |
勘定コード | 勘定科目を表すコードを管理する単位になります。 |
為替レート | 国内通貨と外国通貨の換算レートを管理する単位になります。 |
BP(得意先) | ビジネスパートナー(得意先)を管理する単位になります。 |
BP(仕入先) | ビジネスパートナー(仕入先)を管理する単位になります。 |
銀行 (Bank) | 銀行を管理する単位になります。 |
固定資産 (Asset) | 固定資産を管理する単位になります。 |
SAP FIと関連が強いモジュール
管理会計(CO)
FIモジュールでは発生した費用や収益を管理します。FIモジュールで計上された会計伝票データは原価センタなどのコストオブジェクトを通じて、COモジュールにデータが流れていきます。COモジュールでは予算管理や収益性分析、原価計算・原価管理などの機能群を提供しています。
以下の記事ではCOモジュールに関するナレッジをまとめていますので、併せて読むことで理解が深まります。
まとめ
SAP FIモジュールは、企業の日々の取引や、債権、債務などの財務データを一元管理し、財務報告や経営分析を行うための基盤を整えます。これにより、企業は効率的に資金の流れを管理し、正確な財務情報を提供することが可能になります。
ここで解説したナレッジがプロジェクトの成功の一つの種になれば幸いです。
FIのまとめは以上じゃ!