この記事を読むメリット
- SAPのMMモジュールでのロットマスタ(Batch Master)の概要と登録方法が理解できます。
博士!
何か製品に問題が生じた時に、原材料の追跡を行いやすいようにしておくにはどうすればよいですか?
ロット(Lot)とは、製造過程において一連の製品または材料の特定の単位を管理するための概念です。
SAPシステムではロット管理は、品質管理、トレーサビリティ、在庫管理において重要な役割を果たします。ロット番号を使用して、特定の製品や材料の生産履歴、品質検査結果、使用状況を追跡することができます。
例えば、食品メーカーは同じ商品に対して賞味期限ごとに別々の在庫管理を行う目的で、商品に対してロット番号を割り振っています。あるいは、化学メーカーが特定の条件で仕入れた原材料で作られた在庫を、同じ品目でも他の在庫と別々に管理したい場合にロットマスタを使用することがあります。
そのロット情報を制御をしているのがSAPにおけるロットマスタ(Batch Master)です。
それでは、早速ロットマスタの解説をしていきます!
この記事のポイント
ロットマスタとは?
ロットとは、同じ品目でも製造日や有効期限日などの項目ごとに別々に管理したい場合に使用します。SAPでは、英語表記の場合に、このロットのことをBatchと表現しています。
イメージは下記のとおりです。
ロットマスタの主な設定項目
主な設定項目
- KEY情報
- 基本データ1
- 有効期間期限
- 製造日付:製造された日付(有効期間開始日)。
- 有効期間期限日:有効期間終了日であり、過ぎると在庫ステータスが保留となる。
- 利用可能開始日:利用可能になる日。
- ロットステータス
- 利用可能/非利用可能:在庫ステータスについて利用可能⇔非利用可能の変更ができる。
- 取引データ
- 仕入先:ロットを仕入れた際の仕入先。発注入庫時に設定される。
- 供給者ロット:仕入先で管理されているロット番号。
- 前回入庫:前回入庫した日。
- 原産国・原産地:ロットが制作された場所の情報。
- その他
- 次回品質検査:品質検査が行われる日付であり、過ぎると在庫ステータスが品質検査中となる。
- ロット削除フラグ:ロットを論理削除する際に利用する。
- 分類
- クラス/各特性:ロット固有の情報について特性値として設定することができる。
特性値については以下で解説しているので確認してみて下さいね!
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ロット管理するか否かの設定方法
ロット管理するか、非ロット管理とするかは、品目マスタにて設定します。
販売:一般/プラントビュー、購買管理ビュー、作業計画ビュー、プラント/保管場所1ビューにて設定可能です。どれか1つにチェックを入れると他のビューにも反映されます。
MMのロットマスタのトランザクションコード
| T-CODE | 内容 |
|---|
| MSC1N / MSC2N / MSC3N | ロットマスタを登録/変更/照会することができます。 *照会時は、ロット番号が必須項目です。 |
| MSC4N | ロットマスタの変更履歴および変更文書番号の照会が可能です。 |
| MSC5N | ロットの一括処理を行うことが可能で、品目単位でロット番号を一覧で照会することも可能です。 |
| MSC6N | ロットのワークリストを照会することができます。 *変更管理をワークフロー(承認フロー)で行っている場合に使用します。 |
| BMBC | ロット情報コックピットの画面を照会できます。 *ロットマスタの情報も含めた在庫照会ができます。 |
MMのロットマスタに関するトランザクションコード一覧
ロットマスタの登録方法
ロットマスタの登録方法は2通りあります。
- 1つ目は、T-CODE:MSC1Nを使用し、入庫前にロットマスタを作成する方法です。
- 2つ目は、入庫のタイミングでロットマスタを作成する方法です。
ロットマスタの登録方法①
T-CODE:MSC1Nから、下記のように品目(必要に応じてロット番号やプラントや保管場所)を入力しEnterを押します。
内部採番を有効化している場合、ロット番号をBlankの状態でEnterを押すと下記のポップアップが表示され、内部採番でロット番号を発番します。
ロットマスタのコード体系は、カスタマイズの番号範囲にて設定できます。
内部採番と外部採番を両立させることも可能であり、指定したロット番号で外部発番することができます。
次に、各タブに対して詳細情報を入力していきます。
今回は、有効期間期限を入力しています。
もっと詳しく💡
ロットマスタの番号範囲のカスタマイズは、T-CODE:SPROのIMG照会で下記パスから設定可能です。
“SPRO > ロジスティクス – 一般 > ロット管理 > ロット番号割当 ”
ロットマスタの登録方法②
T-CODE:MIGOで入庫処理を行う際に、ロットマスタを作成することができます。
入庫処理画面で、品目と場所(Plantおよび保管場所)を入力した時点で、ロットタブが表示されます。
このロット画面で、ロット番号および製造日付などを入力し、保存ボタンで入庫処理を完了させるとロットマスタに紐づく在庫を計上することができます。
また、ロットタブの「分類」ボタンからロット特性の設定画面に遷移することもできます。
T-CODE:MSC3Nからロットマスタが作成されたことや変更履歴タブから入庫伝票などの関連する伝票情報も確認することができます。
変更する際は、T-CD:MSC2Nを使用するぞい!
MMのロットマスタ関連テーブル
| テーブルID | テーブル内容 |
|---|
| MCH1 | ロット(Batch)の一般情報を保持しているテーブル |
| MCHA | ロット(Batch)のプラント(Plant)情報を保持しているテーブル |
| MCHB | 保管場所(Storage location)にあるロット(Batch)の在庫情報を保持しているテーブル |
| MCHBH | 在庫履歴を保持しているテーブル |
MMのロットマスタ関連テーブル
MMのロットマスタの解説は以上じゃ~!
テーブル関連については、下記記事が参考になるぞい!
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