この記事を読むメリット
- T-CODE:MASS(マスタ一括更新機能)の使い方が理解できます。
- MASS機能を使ってデータ更新の効率をアップすることができます。
SAPにおいてマスタデータは不可欠な要素です。
マスタデータには多くの項目が含まれており、誤って登録してしまうことも少なくありません。特に移行フェーズでは、大量のマスタデータを登録する必要があるので、誤りが発生した際に一つ一つ修正するのは非常に手間がかかります。
SAPではT-CODE:MASSにて品目マスタや一部のトランザクションデータの一括更新が可能です。
この記事のポイント
SAPのMASSアップロード機能
大量なマスタデータやトランザクションデータを一括登録あるいは更新する移行フェーズでは、プロジェクトによってやり方が異なると思います。やり方の一つとしてT-CODE:MASS(マスアップロードツール)があります。
MASS
SAPのT-CODE:MASSは、一部のマスタデータやトランザクションデータの一括更新や登録を行うためのツールです。
具体的には、SAPの「MASS」トランザクションを使用することで、さまざまな種類のマスタデータ(例:品目マスタ、BPマスタ)やトランザクションデータ(例:購買発注、受注伝票)を一度に更新または登録することができます。
マスタデータの一括変更(一律の値での更新)
「MASS」トランザクションを使って、既存のマスタデータの複数レコードを一括で変更できます。
まずT-CODE:MASSを起動し、Objectタイプを指定します。
入力項目
- Object タイプ:変更したいオブジェクトタイプを入力します。
ここで指定するオブジェクトタイプのみ一括変更することができ、このオブジェクトタイプと他のオブジェクトタイプを同時に一括変更することはできません。
今回は例として、オブジェクトタイプ:LFA1(仕入先)を変更します。
選択ヘルプをクリックすると、原価センタ、利益センタ、品目などのオブジェクトタイプも選択できることがわかります。
実行すると、次の画面に遷移し、仕入先のどのビューの内容を更新するかを選択します。
今回は一般ビューの項目「検索語句」を更新していきます。
仕入先マスタ(一般セクション)をチェックします。
更新したい対象の仕入先を入力します。
更新したい項目を選択します。今回は項目「検索語句」を更新したいので、検索語句のデータ項目を選択します。
対象仕入先の検索語句は元々ブランクですが、新規値「TEST」を入力します。
下図のように赤枠の一括変更実行ボタンを押すと、変更対象の検索語句に自動的「TEST」が反映されます。
下図は一括変更実行ボタンを押下し、該当の仕入先に対して検索語句が反映されることが確認できます。
内容を確認し、問題なければ保存します。
これで仕入先マスタの検索語句を一括更新できました!
マスタデータの一括変更(異なる値での更新)
一律の値ではなく、複数仕入先マスタにそれぞれ違う値を更新したい場合、ファイルからのデータインポートを利用します。
「仕入先マスタ移行の時に電話番号の設定が漏れた」という状況だと仮定し、今回はそれぞれの電話番号を更新してみましょう。
まずは、事前に更新したい内容のエクセルファイルを用意する必要があります!
更新したいテーブルのキー項目をすべてアップロードファイルに記載する必要があります。
T-CODE:MASSの画面から「ファイルからのデータインポート」を選択すると、アップロードファイルがリクエストされます。
ファイルの選択が終わったら、アップロードファイルのヘッダー行があるかどうかを選択して、実行します。
問題なければ、下記のように項目をアップロードファイルの内容に割り当てする必要があります。
※上記はLFA1の例ですが、LFB1(仕入先マスタ (会社コ-ド))の項目を更新する場合、仕入先コードに加えて会社コードをアップロードファイルに設定し、項目を割り当てる必要があります。
割り当てが終わったら続行していくと、以下の通りにアップロードファイルの電話番号が反映されています。
内容を確認して問題なければ保存し、更新は完了です。
SAP LSMW(Legacy System Migration Workbench)
LSMWは、外部システムからSAPにデータを移行するためのツールです。複雑なデータ変換やデータマッピングが可能です。
LSMWの使い方は以下で詳しく解説していますので、こちらも確認してみてください!
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SAP BODS(BusinessObjects Data Services)
SAP BODSは、データ統合、データクレンジング、データマイグレーションの機能を提供するツールです。
ちなみに私が現在参画しているプロジェクトはちょうど移行フェーズであり、移行ツールはBODSを使っています。新旧コードの変換、転記日付のロジック、要件に沿ってロジックを組んで複雑な移行要件に対し対応することができます。
T-CODE:MASSではデータを一括登録できるのが便利ぞい!
SAPプロジェクトでデータ一括更新の局面が来たら、ぜひ活用してみるんじゃ。