この記事を読むメリット
SAPでの外注プロセスにおける副産物・支給品返却プロセスが理解できるようになります。
SAP MMにおける外注加工プロセスにおいて、これまで基本的な流れを押さえてきましたが、実務上では(A)原材料の端材の発生 や(B)支給した品目の返品 といったケースが発生しえます。 これらのケースはそれぞれ、副産物入庫と支給品返却という形でSAPでは移動タイプとともに処理が可能となっています。 (A)この副次的に発生した端材が仮に市場において評価額を有するもので、かつそれを製品の製造原価に含めない場合、SAPでは通常「副産物(By-Product) 」という形で対象の品目を認識します。 (B)こちらについては、支給した品目に何らかの不具合があったり、個数が余分に支給されてしまった、といった場合に処理を行います。
それぞれのケースについて、実機画面も交えて処理の流れについて確認していきましょう!
博士、外注プロセスはこれまでの記事で基本は分かったのですが、”加工先から個数が多かったから返却したい”ってユーザから依頼を受けています…
支給品の返却は比較的シンプルに対応できるんじゃぞ! 慌てずに処理をしたのちに、必要なら品検在庫に入れて品質検査をするとよいぞ!
それではそれぞれのパターンについて解説していくぞい!
この記事のポイント
前提知識: 外注加工プロセス(Subcontracting)とは?
そもそも外注加工プロセス(Subcontracting) とは自社で保有している半製品や部材(支給品)を支給し、加工・製造してもらうプロセスとなります。※詳しくは以下の記事にて解説しています。
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ただ、今回は加工先に余分に数量を送ってしまったり、何らかの事情があって支給した品目を返却してもらうとした場合を想定します。
前提知識: 副産物(By-Product)とは?
副産物 とは、製品の製造過程で副次的に発生する原材料のことです。また、その評価額をもって製品の原価を下げる役割をもっています。SAPではBOMマスタの設定で対応します。※BOMマスタに関する記事は以下で詳しく解説しています。
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副産物の具体例
例えば、外注先に対して、製品の加工を依頼し、加工代10,000円を支払予定で構成品100kgを無償支給したところ、完成品入庫のタイミングで構成品の端材が1kg発生した。この端材の評価額は100円/kgだったとします。
この時、MIGOでの副産物の入庫時(531)には、完成品の入庫(101)という形で会計上は借方:加工後品 10,000円 / 貸方: GR/IR(外注加工費) 10,000円 →請求書照合で買掛金計上となり、 その後、借方:副産物 100円 / 貸方: 外注オーダー 100円 というような形で外注の加工費の減額の仕訳が行われる形となります。
副産物入庫プロセスフロー(実機画面)
では、実際に実機画面を通じて副産物入庫のプロセスフローを紹介していきます。
副産物入庫プロセス概要フロー
外注支給のプロセスとして、製造指図に紐づく加工サービスの外注工程を例に説明します。 指図に紐づく形で購買依頼が自動で生成され、加工のサービス発注(明細に品目コードなしのブランク)という形で発注を登録する発注を伴う、外注支給プロセスで副産物が加工によって発生する場合のフローは以下となります。 ※加工後品を発注するケースも発注から基本的に同じ流れを取ります。
※外注先への支給で生じたものは明細カテゴリなどの組み合わせによって使用可能な移動タイプによって制御されているため、購買発注を参照した形での入庫については移動タイプ:545 で、通常の副産物入庫(移動タイプ:531 *)ではなくなるので注意が必要です。*「副産物入庫(内製品の場合)」参照
外注加工時での副産物の入庫の移動タイプは”545″となります。
①指図登録(T-CODE: CO01)
副産物を含む、内製品の加工依頼を作るために指図を作成します。
指図照会の画面では、外注作業が作業手順マスタ から提案されていることを確認できます。 (この時、指図登録と同時で購買依頼が作成される設定等はコンフィグによって設定可能)
②加工の購買依頼を確認→発注変換(T-CODE:ME53N→ME21N)
指図に外注工程が含まれている場合、システムは指図と紐づいた形で自動的に購買依頼を生成されます。 これは、通常の「品目を外注発注するプロセス」とは異なり、指図の工程そのものを外部仕入先に加工依頼するための仕組みです。
そのため、外注加工で使用する品目コードは変わらず、あくまで作業工程を外注する、扱いになります。
結果として、自動生成された購買依頼では 品目コード欄がブランクのまま になっていることを確認できます。これは、品目そのものの発注ではなく、指図の外注工程に対する加工サービスを依頼しているためです。
そして、こちらの購買依頼を購買発注に変換していきます。
③支給するための出荷伝票登録(T-CODE: ME2ON)
サービスの購買発注を登録した後は、支給品を加工先に送るための出荷伝票を作成します。(今回は無償支給で実施) 対象の発注を選んで”納入登録”から出荷伝票を作成します。
続いて、作成した出荷伝票を出庫転記します。
④加工品入庫(T-CODE: MIGO)
加工先から加工完了の旨を受領し、SAPで加工後品を入庫します。この時、副産物も同時にSAPに入庫される形となることが確認できます。
支給での副産物入庫処理
ただし、購買発注を通じて外注加工品を受入した場合、SAP では完成品の入庫処理と同時に、構成品として紐づく副産物が外注先在庫(特殊在庫:O)へ入庫されます(移動タイプ 545) 。これは SAP 標準の外注ロジックによる制約であり、加工済みの完成品と副産物を「同時に自社在庫へ返却する」ことはできません。そのため、両方を自社在庫として受け取りたい場合は、完成品入庫後に別途転送処理を行う必要があります。
仕入先支給品在庫に副産物が残っている状態
以上が、外注支給をともなう副産物入庫のフローとなります。
外注先からの支給品返却プロセスフロー(実機画面)
では、次に実機画面を通じて支給品の返却プロセスフローを紹介していきます。
支給品返却プロセス概要フロー
支給品直送プロセスの概要フローは以下のように整理できます。 ※なお、入荷後の原料の支給発注に伴う債務計上プロセスは割愛しています。
外注加工時での支給品返却の入庫の移動タイプは”542″となります。
実機画面でのプロセスフロー解説
では、先ほどのフローに従って、実機画面の操作とともに流れを確認していきましょう。
①加工発注(T-CODE:ME21N)
加工先に支給品を支給するために加工の発注伝票を作成します。 (※簡易的に行う場合は、MIGOにて仕入先を指定して支給品出庫することも可能です)
加工後品を指定して、購買発注の登録
②支給品支給(T-CODE:MIGO/ME2ON)
発注を参照して、加工に必要な構成品を出荷するための入出庫伝票を作成します。先ほど、出荷伝票作成のパターンで説明したので、今回はMIGOで作成します。 ※出荷伝票を作成する場合は、T-CODE:ME2ONで出荷伝票作成と出庫確認を行うことができます。
外注先在庫への在庫移動処理
ここで、支給品の在庫状況を確認してみましょう。 加工業者の仕入先31000000の支給品在庫として、在庫が計上されていることが確認できます。
支給品在庫確認画面
③支給品返却入庫(T-CODE: MIGO)
支給したものの、何らかの不備があったと仮定して、支給した支給品を返却受入するために、MIGOにて入庫を行います。この時の移動タイプは支給品取消(移動タイプ:542) を使用します。
これにより、外注先へ支給していた構成品は自社在庫として戻ってくることになります。 ただし、品目が移動平均単価で管理されている場合には注意が必要です。戻し入れの際、既存在庫とは異なる数量や単価で在庫が構成されていると、移動平均単価が再計算されて変動してしまう可能性があります。そのため、在庫評価への影響を十分に考慮したうえで処理を行う必要があります。
補足: 副産物入庫(内製品の場合)
支給プロセスなしでの場合は、原材料出庫もしくは、製造記録におけるバックフラッシュ機能 を使うことで構成品である、原材料の消費に対して、副産物が入庫(移動タイプ531)されるフローとなります。
自社加工での副産物の入庫の移動タイプは”531″となります。
①指図登録(T-CODE: CO01)
②原材料出庫(T-CODE: MIGO)
今回は、原材料出庫を行う形で副産物入庫を行います。 指図番号を指定して、出庫をすると出庫なのに副産物入庫(移動タイプ:531)で入庫される様子を確認できます。
さいごに
本記事では外注支給におけるさまざまな派生形の処理について説明してきました。本記事を通じて、副産物入庫と支給品返却の仕組みと実機画面について、みなさまの理解の一助となれば幸いです。