この記事を読むメリット
- SAP での品目マスタの各項目が格納されているテーブルについて理解することができます。
- SAPでの品目(Material)マスタに関するテーブルと各テーブルの関連性を理解することができます。
品目マスタは、SAPの主要マスタのうちの1つと言われています。
その中でも、マスタ画面における項目数の多さやビューの多さといった点が品目マスタを理解するうえでの壁となっています。
本記事では、基本的な構造と主要な項目などがどのテーブルに格納されているのかを実機画面を見ながら解説していくことで品目マスタの項目がどこに記載されているのかについてイメージできるように解説していきます!
この記事のポイント
品目マスタの構造
品目マスタはといった①組織共通データと、販売組織や購買組織やプラント単位ごとに異なる取引条件を持つ②組織依存データ(※下図では、販売/プラント/会計データ)に大別することができます。
テーブル関連図(品目マスタ)
品目マスタに関するテーブルは以下となります。
関連するテーブルが多いため、各テーブルの概要のみを記載しています。
テーブル一覧(品目マスタ)
品目マスタの主要なテーブルの概要は下記となっています。
テーブルID | テーブル内容 |
---|
MARA | 品目:一般データ 品目マスタについて品目コードや品目グループといった基本データが格納されています。 |
MAKT | 品目:テキスト 品目のテキストデータが格納されています。 |
MVKE | 品目:販売データ 品目マスタについて販売組織単位ごとのデータが格納されています。 |
MARC | 品目:プラントデータ 品目マスタについてプラント単位ごとのデータが格納されています。 |
MARD | 品目:保管場所データ 品目マスタについてプラントに紐づく保管場所単位ごとのデータが格納されています。 |
MDMA | 品目:MRPエリアデータ 品目マスタについてMRPエリア単位ごとのデータが格納されています。 |
MBEW | 品目:評価エリアデータ 品目マスタについて品目の評価単位ごとのデータが格納されています。 |
品目マスタ関連のテーブル
各テーブル解説
ここでは実際のマスタ設定画面とテーブル検索例を紹介します。
テーブルの検索はT-CODE:SE16Nを使用しています。
MARA(一般商品データ)
一般商品データ(品目の一般データ)に格納されている情報は品目マスタを登録する際に選択した基本的な情報が格納されています。
具体的なSAPの画面としてはT-CODE:MM01の仕入先一般画面で確認できる最初の画面のデータが格納されているのじゃ!
テーブルMARAでの表示項目例
主な項目
- 品目コード(MATNR)
品目コードを指定します。採番体系は通常、品目タイプごとにシステム自動採番にするか、任意の番号を指定するかは、パラメータ設定にて設定可能です。(T-CODE:MMNR)
- 登録日/登録時刻/登録者/最終変更/変更者(ERSDA/CREATED_AT_TIME/ERNAM/LAEDA/AENAM)
品目の登録日時および最終変更日・変更者を確認することができます。
- 品目タイプ(MTART)
対象の品目がどのような種類(原材料、半製品、完成品、商品、サービスなど)なのかを分類します。品目マスタ登録の第一画面にて設定可能で、品目タイプによって表示するビューの設定もパラメータ設定にて設定可能です。(T-CODE:OMS2)
- 産業コード(MBRSH)
品目がどのような産業種別の品目かを表します。SAP標準では化学産業や機械工学といった分類が用意されています。
- 品目グループ(MATKL)
品目マスタを分類する用途で使用されます。⑥の品目階層との違いは、主に購買管理にて品目をグルーピングする際に使用されることが多いです。
- 製品階層(PRDHA)
”品目階層”とも呼ばれる本項目は主に販売管理における品目のグルーピングとして使用されます。標準では3段階まで品目を大・中・小分類として階層管理して収益性分析における分析軸などに利用する事ができます。拡張することで桁数や階層数を増やすこともパラメータ設定にて可能です。(T-CODE:V/76)
MAKT(品目テキストデータ)
主な項目
- 品目コード(MATNR)
品目コードを指定します。
- 言語(SPRAS)
品目テキストにて使用されている言語を表します。
JAでログインした場合には日本語での表記、ENでログインした場合には英語で表記されるといった分岐が可能となっています。
- テキスト(MAKTX)
各言語での品目のテキスト名が表示されます。(40桁まで設定可能)
※品目テキスト(MAKTG)は大文字化されることでマッチコード検索によって検索結果の精度を上げるために使用される項目となっています。
MVKE(品目販売データ)
品目販売データでは、販売組織単位での設定値を確認することができます。
主な項目
- 販売組織/流通チャネル(VKORG/VTWEG)
品目販売データにおけるキーとなる項目です。
- 出荷プラント(DWERK)
どの出荷ポイントに置いて出荷作業を行うかの決定にあたって使用されるキー項目となります。ただし、得意先品目情報レコード>BPマスタ>品目マスタの順番で優先されます。
その他の出荷ポイントの決定キーとしては出荷条件/積載グループをキーに初期提案される出荷ポイント/設定可能な出荷ポイントが設定可能となっています。(T-CODE:OVL2)
- 勘定設定グループ(品)(KTGRM)
対象の品目を販売したときにどのような仕訳が切られるか(収益勘定)について決定する際のキーとして使用されます。
- 明細カテゴリグループ(MTPOS)
主に受注伝票における商流が何か(受注紐づきで発注を伴うのか、在庫品販売なのかなど)を表す場合に使用される受注伝票の明細カテゴリの決定キーの1つとして使用されます。(T-CODE:VOV4)
MARC(品目プラントデータ)
品目プラントデータでは、プラント単位でのデータが格納されています。
プラントの単位で在庫の数量および金額データを管理しているため、在庫の生産に関するデータやMRPに関するデータを保持しています。
主な項目
- ロット管理区分(XCHAR)
対象のプラントにてロット管理を行うかのフラグ設定ができます。
通常は、品目一般データにてフラグをオンにすると拡張されているプラントすべてについてフラグがオンされた状態となります。
- 品目ステータス(MMSTA)
対象の品目の取引において、受発注や製造についてを制限するステータスを設定することができます。
ロット管理区分同様に、品目一般データにて対象とする場合の挙動を全プラントなのか、対象のプラントかに対して設定が可能です。
また、対象のステータスの設定について、ワーニング(A)とする・エラー(B)とするかなどを個別にパラメータ設定が可能となっています。(T-CODE:OMS4)
- 利益センタ(PRCTR)
対象の品目を利用した場合における利益センタがどこかという情報を設定可能です。
ここで設定された値が通常は受注伝票に提案され、会計データへとつながります。
MARD(品目保管場所データ)
品目保管場所データでは、プラントに紐づく保管場所単位でのデータが格納されています。
ここでの主な表示項目はT-CODE:MMBEにて保管場所単位で確認できる品目照会画面の数量となっています。
主な項目
- 利用可能在庫(LABST)
保管場所における品目の利用可能在庫数について数量を確認することができます。
- 転送中在庫(UMLME)
積送中の在庫など、転送中在庫の数量を確認することができます。
MDMA(品目MRPエリアデータ)
品目のMRPエリアデータでは、対象の品目を生産するためにどれだけ部材が必要かをMRP(資材所要量計画)計算を実施して、必要な部材の手配や生産を行います。対象の品目のMRP計算を行う単位のことをSAPではMRPエリアとして定義し、品目のMRPエリアデータでは生産や購買に関連する情報を保持しています。
主な項目
- MRPタイプ(DISMM)
MRPを行う方式について設定を行うことができます。
例えば、上図でのPD(予測消費なし、計画タイムフェンスなし)では、MRP計算を実行した際の所要量のみに応じた計算を行うことを表しています。
- MRP管理者(DISPO)
MRP計算を行う場合における担当者を設定することができます。
- ロットまとめ方式(DISLS)
MRP計算を行う場合の所要(生産・購買)についてのロット数量をどのようにするかを設定することができます。
- 丸め数量(BSTRF)
品目を生産・購買するうえで、どの数量単位で製造・発注する事ができるかを設定します。
例えば、丸め数量が”5″であれば、部材が6個ほしいとしても2件の発注を行うことになります。
- 安全在庫(EISBE)
安全在庫は在庫に余裕を持たせるためにあらかじめ数量を指定しておくことで、
キープしたい在庫数についても、MRP実行時における所要に含めることができます。
MBEW(品目評価エリアデータ)
品目の評価エリアデータは品目の標準原価や評価クラスなど会計データに関連するデータが格納されています。SAPではこれらの単位を評価エリア(評価レベル)として設定し管理します。
(評価エリアは通常はプラントと同じ粒度で設定するケースが多いです。)
主な項目
- 原価管理区分(VPRSV)
品目の評価を移動ごとに再計算を行う移動平均原価とするか、標準原価かを設定する区分です。
- 評価クラス(BKLAS)
品目の会計処理を行った際に、どの科目(商品、製品、半製品、サービスなのか等)で処理を行うかを決定するためのものです。
- 価格単位(PEINH)
価格の基準となる数量単位を設定することができます。
例えば、100PCで150円の場合は、1PCを1.5円のように扱うことができます。(日本円は小数点を使えないため)
以上が、品目マスタの代表的なテーブルじゃ!
このほかも細かなテーブルや項目があるが、本項目が主に発注業務時に設定することの多い項目として今回は紹介しておる。
最後に
以上、品目マスタに関する使用されることの多い基本的なテーブルについてマスタ上での画面とテーブルでの項目を比較しながら解説を行いました。
本記事を通じて、品目マスタの構造イメージおよび主要項目について理解いただければ幸いです。