この記事を読むメリット
- SAPの総勘定元帳について理解することができます。
- 従来(旧)の総勘定元帳と新総勘定元帳(NEW-GL)の違いについて理解することができます。
SAPにおける総勘定元帳(General Ledger)、略してG/Lは、企業のすべての財務取引を記録・集約する中心的な会計帳簿です。
G/LはSAPのFIモジュールにおける重要なサブモジュールになります。
※FIモジュールでは重要なサブモジュールはAP(債務)、AR(債権)、G/L(総勘定元帳)になります。
早速、SAP総勘定元帳についての詳細を紹介していくぞい!
この記事のポイント
総勘定元帳とは
SAPの総勘定元帳と日本の会計用語の総勘定元帳はほぼ同じ意味を持ちます。
補助元帳の単語もよく耳にするかと思いますが、まずは総勘定元帳と補助元帳の違いを簡単に説明させてください。
取引例を解説💡
(Ex.)
サクラ株式会社はSAPラボ株式会社の取引先です。
サクラ株式会社はホームページのメンテナンスサービスを提供しています。
SAPラボ株式会社はサクラ株式会社をBPマスタとしてSAPに登録してマスタ管理しています。BPコードは1000000001です。
2025/6/1にSAPラボ株式会社はサクラ株式会社ホームページメンテナンスサービス提供の契約をしました。代金は来月末振込という支払条件で結びました。
この取引について、SAPラボ株式会社は下記仕訳のSAP会計伝票を登録しました。
・補助元帳:仕入先(サプライヤー)や得意先(カスタマー)などの粒度で会計取引を記録する元帳
補助元帳
借方:運用保守費 100,000 / 貸方:サクラ株式会社(1000000001) 100,000
登録した取引は補助元帳だけではなく、総勘定元帳にも自動的反映される仕組みになっています。
・総勘定元帳:企業が行うすべての取引を勘定科目ごとに分類し、記録する帳簿
総勘定元帳
借方:運用保守費 100,000 / 貸方:未払金 100,000
まとめると下記のイメージです。
総勘定元帳に転記する場合には、統制勘定で転記される点がポイントじゃ!
こちらBPコードや統制勘定については下記の記事で書いているので併せてチェックしてみてください。
SAPラボ
【SAP FI】BPマスタ(仕入先)について解説 | SAPラボ
BPマスタ(仕入先ロール)についてSAPの基本設定項目を理解することができます。 BPとはBusiness Partner(ビジネスパートナー)の略で、取引先を意味しています。ECCでは…
あわせて読みたい
【SAP FI】統制勘定と代替統制勘定
この記事を読むメリット 統制勘定の詳細について理解できます。 代替統制勘定の設定と代替統制勘定の業務運用について理解できます。 SAPにおいて、勘定マスタは極めて…
従来(旧)の総勘定元帳と新総勘定元帳の違い
従来の旧総勘定元帳と新総勘定元帳(NEW-GL)の簡単な比較は下記になります。
従来(旧)の総勘定元帳
従来の総勘定元帳にせよ、新総勘定元帳(NEW-GL)にせよ、最も基本な使い方は同じです。
以下の視点から、従来の総勘定元帳と新総勘定元帳(NEW-GL)の違いを比較しておきます。
- セグメントレポート:非対応(カスタム開発が必要)
- 利益センタ会計:別モジュールで管理する
- パラレル会計対応:特別目的元帳(Special Ledger)を使う必要がある
- ドキュメントスプリット(伝票分割):非対応
- 導入時期:R/3時代から存在するもの
- コストセンタ連携:FI→CO連携で処理
- 保守・サポート:廃止方向
新総勘定元帳(NEW-GL)
SAP ERP ECC 5.0以降で利用可能なFIモジュールのバージョンアップ元帳です。
- 導入時期:ECC 5.0以降で導入可能
- セグメントレポート:対応(標準機能)
- 利益センタ会計:同一G/Lで管理可能
- パラレル会計対応:パラレル元帳(Ledger)機能あり
- ドキュメントスプリット(伝票分割):対応(部門・セグメント単位で分割記帳)
- コストセンタ連携:COデータも同時記録(リアルタイム統合)
- 保守・サポート:可能
※SAP S4/HANAを利用する企業にとっては、新総勘定元帳相当の機能は(ACDOCA)に統合され、旧総勘定元帳や新総勘定元帳の区別はなくなります。
リーディング元帳と非リーディング元帳
上記で触れたパラレル元帳機能とは何でしょうか。
これは新総勘定元帳(NEW-GL)の特徴的機能の1つになります。
パラレル元帳機能は異なる会計基準(例:日本基準、IFRS…)に対応するため、複数の会計帳簿(元帳)を並行して管理する仕組みです。
これにより、1つの会社コードで複数の基準による財務諸表を作成可能です。
日本の企業は日本基準とIFRS(国際会計基準)に準拠した会計報告を行うことがあります。
そのため、グローバル企業の場合、日本基準ベースとIFRSベースの複数元帳で管理することがあります。
複数元帳の場合1つはリーディング元帳とし、1つは非リーディング元帳とします。
・リーディング元帳:0L (Leadingのチェックを入れます)
・非リーディング元帳:2L(元帳の名前を変更することができますので、例えばローカル元帳とかに)
非リーディング元帳を利用する目的は、日本会計基準と異なる減価償却などの処理をするためです。
無論、元帳を指定して(IFRSにしか転記しない)会計転記することも可能です。
パラレル元帳 関連カスタマイズ
元帳の定義(Ledger)定義
パス:財務会計⇒財務会計共通設定⇒元帳⇒定義:元帳グループ
SAP標準用意している元帳グループ0Lと2Lを利用します。
0Lを選択して、元帳割当をクリックします。
※すでに業務データが存在する場合、元帳グループの修正などはできないです。
同様に、元帳グループ2Lについても、元帳割当します。
会計原則(Accounting Principle)の定義
パス:財務会計⇒財務会計共通設定⇒パラレル会計⇒定義:会計原則
SAP標準はたくさん用意しています。
今回のクライアントはIFRSとJPAP(日本基準)の会計基準を使用します。
SAP標準用意していますので、特に設定が不要です。
会計原則と元帳の紐付け(Ledger-Accounting Principle)
パス:財務会計⇒元帳⇒パラレル会計⇒割当:会計原則→元帳グループ
ここで会計原則と元帳グループを紐づきます。
新総勘定元帳(NEW-GL)についてイメージを理解できました!
新総勘定元帳(NEW-GL)を採用しているSAPプロジェクトは多いので、まずは基礎のイメージが重要じゃ!