SAP FIコンサルタントの仕事内容と必要なスキルを徹底解説

「SAP FIのコンサルタント」ってどう言った仕事なの?

という悩みをお持ちではないですか?

SAPのFIは重要と聞いたことはあるけれど、なぜ重要なのかよくわからないという声をよく聞きます。
SAP FIはSAPシステムの中核であり、FIのためにSAPを導入するという企業も多くいるほどです。

本記事では、SAP FIコンサルタントはどう言った仕事か?という疑問に対して、以下の内容から説明していきます。

  • SAP FIコンサルタントとは
  • SAP FIモジュールとは?
  • SAP FIコンサルタントに求められるスキル

また、SAP FIコンサルタントになる方法や具体的な案件もあわせて紹介します。

SAP FIコンサルタントに興味をお持ちのあなたにとって、参考になる内容となっています。
ぜひご覧ください。

目次

SAPコンサルタントとは?

SAPコンサルタントとは、クライアント企業のビジネスプロセスを最適化するために、SAPシステムの導入や運用を支援するコンサルタントです。

ビジネスプロセスの最適化は各クライアントでの業務要件に対応すること、各国で設定されている法律対応を含めて行います。
そのため、SAPコンサルタントはSAPのソフトウェア知識だけでなく、企業の業務プロセスを分析する力、各国の法律についても詳しく知っておく必要があります。

SAPコンサルタントについて詳しく説明している記事もありますので、あわせて参考にしてみてください。

SAP FIのコンサルタントとの違い

SAP FIコンサルタントは、SAPコンサルタントの中でも、財務会計(FI:Financial Accounting)モジュールを専門にしたコンサルタントを指します。

クライアント企業の財務会計業務の課題をヒアリングし、SAP FIモジュールの活用した解決策を提案した上で、システム導入から教育、稼働までを行います。

SAPのFIモジュールとは?

SAPのFIモジュールは上記でも説明した通り、財務会計のモジュールです。
FIモジュールはSAPを導入する企業のほとんどが導入すると言われるほど、SAPの根幹となっている機能です。

ここでは、以下内容を説明していきます。

  • SAP FIとは
  • SAP FIモジュールの役割

1つずつ解説していきます。

SAP FIは財務会計を意味する

何度も記載している通り、FIモジュールは財務会計モジュールと呼ばれており、企業への投資家や債権者など外部に公開する財務諸表を作成するための会計処理を取り扱います。

また、SAPの周辺モジュールである販売管理(SDモジュール)や購買モジュール(MM)の処理から作成される仕訳情報が、SAP FIへ連携されてきます。

SAPで作成されるモジュールの各伝票は最終的にFIに流れてくることも多く、SAPの中心的なモジュールと言えるでしょう。

SAP FIモジュールの役割

SAP FIモジュールは以下の5つの役割を持っています。

  • SAP内の仕訳データの一括管理
  • 財務諸表の作成
  • 自社経営状況の分析
  • 年間予算の計画と実績管理
  • 各種税務の申告

1つずつ詳しく説明していきます。

SAP内の仕訳データの一括管理

役割の1つ目は「SAP内の仕訳データの管理」です。
上記でも記載した通り、他モジュールで発生した処理に伴う会計仕訳を登録します。

具体的に他モジュールで発生する仕訳について例を挙げておきます。

  • 販売管理(SD)モジュール:売掛金/売上
  • 購買管理(MM)モジュール:仕入/買掛金

あらゆる取引をFIの仕訳データとして一元管理することでデータの整合性が保たれ、業務の効率化と正確な財務分析が可能です。

財務諸表の作成

2つ目は「財務諸表の作成」です。
以下は代表的な財務諸表で、これらはFIモジュールの機能を利用して自動作成できます。

  • 損益計算書(P/L)
  • 貸借対照表(B/S)
  • キャッシュフロー計算書

上記の財務諸表は企業の経営状況を分析し、意思決定を行うための重要な資料となります。

自社経営状況の分析

3つ目は「自社経営状況の分析」です。
SAP FIは財務データに基づいた、さまざまな分析機能を持っています。

例えば、以下のような分析手法を用いて、企業の経営課題や改善点を明確にすることが可能です。

  • 収益分析
  • 費用分析
  • 債権者分析

データもリアルタイムで見ることが可能であり、しっかりと分析できます。

年間予算の計画と実績管理

4つ目は「年間予算の計画と実績管理」です。
SAP FIでは、年間予算の計画と実績管理を行えます。

期初に立てた計画予算データと実績データを比較分析することで、予算達成度を評価可能です。
現在の進捗具合や達成度から今後の見通しを立て、軌道修正や方針転換、新たな打ち手などを考える一助になります。

各種税務の申告

5つ目は「各種税務の申告」です。
SAP FIは、消費税、法人税など、企業が納付義務のある各種税金の計算と申告書作成の機能を保持しています。

近年は企業のコンプライアンスに対して、非常に厳しく取り締まられる時代です。
正確な税務処理を行い、企業としてのコンプライアンス遵守を達成できます。

SAP FIモジュールの位置づけ

SAPにはさまざまなモジュールが用意されていますが、SAP FIはSAPシステムの中でも中核なモジュールと言われています。

他モジュールがそれぞれの処理を行っていくと、最終的にはお金の処理に行き着くでしょう。
そのお金の処理はFIモジュールがカバーし、一括で管理しています。

業務プロセスが違ってもお金の処理の部分を一括で担当することで、お金の処理の管理が効率化できます。

SAP FIとCOの違いは?

SAP FIと混同されがちなモジュールに、SAP CO(管理会計)があります。
FIとCOはそれぞれ以下の目的で利用されます。

  • FI:投資家や債権者など社外向けの財務会計
  • CO:経営者や管理職などの社内向けの管理会計

FIモジュールは財務諸表の作成をすることが目的のため、どの企業でも同じような業務プロセスになります。
一方でCOモジュールは企業によって分析する対象や内容が違うため、業務プロセスが企業ごとに違います。

SAP FIの主要サブモジュール

ここからは、FIモジュールの中に含まれているサブモジュールを紹介します。

サブモジュールは、SAPのモジュールからさらに詳細化した機能群のことを指しており、SAP FIのサブモジュールには以下4つの代表的な機能があります。

  • 総勘定元帳(GL)
  • 債権管理(AR)
  • 債務管理(AP)
  • 固定資産管理(AA)

1つずつ解説していきます。

総勘定元帳(GL)

FI-GLは”General Ledger”(総勘定元帳)の略称であり、SAP FIのサブモジュールです。

総勘定元帳は、企業が取引したお金のやり取りを勘定科目ごとに分類した会計帳簿のことを言います。
販売管理(SD)や購買管理(MM)などの他モジュールで登録された実績をFI-GLへ連携し、会計仕訳をまとめて登録します。

総勘定元帳は企業を運営していくためには必ず作成することを求められるため、重要な機能です。

債権管理(AR)

FI-ARは”Accounts Receivables”(債権管理)の略称です。

企業では物やサービスを提供したその場でお金を受け取るのではなく、一定期間分をまとめて受け取ることが通例です。
後日まとめてお金を受け取る債権のことを、”売掛金”と呼びます。

FI-ARでは、得意先別の売掛金の未収金残高や、その明細を管理可能です。
SAP上では、販売管理(SD)の業務プロセスにおいて多用されています。

債務管理(AP)

FI-APは”Accounts Payable”(債務管理)の略称です。
債権管理(AR)と対になる機能と言えます。

物を仕入れする際も一定期間分をまとめて支払うことが通例であり、その支払いをする債務のことを”買掛金”と呼びます。
FI-APでは、仕入先の買掛金の未払残高や、その明細を管理可能です。

SAP上では、購買管理(MM)のプロセスでよく利用されます。

固定資産管理(AA)

FI-AAは“Asset Accounting”(固定資産管理)の略称です。

固定資産とは、土地や建物、車、機械設備などの有形資産、ソフトウェアなどの無形資産などの1年を超えて利用する資産のことを言います。
SAP-FI上は、資産マスタへ登録し、減価償却などの固定資産に関係する会計処理を行います。

SAP FIコンサルタントに必要なスキルは?

SAP FIコンサルタントは、SAPシステムの中でも会計に関する知識やスキルが求められます。
具体的には、以下のような知識やスキルが挙げられます。

  • SAP FIモジュールの知識
  • 会計・簿記の知識
  • 各種業務プロセスの知識

1つずつ説明していきます。

SAP FIモジュールの知識

1つ目は「SAP FIモジュールの知識」です。
SAP FIコンサルタントになるためには、当たり前ですがSAP FIモジュールの知識は必須です。

SAP FIは上述した代表的な4つのサブモジュールが存在するため、企業の財務会計を管理していく上では非常に重要な機能となり、しっかりと理解して使いこなせるようになるのが重要です。

また他にも以下のサブモジュールがあり、こちらも学んでいく必要があります。

  • FI-BL(銀行関連会計)
  • FI-RL(小売元帳)
  • FI-FM(予算管理)
  • FI-SL(特別目的元帳)
  • FI-TV(従業員経費管理)

会計・簿記の知識

2つ目は「会計・簿記の知識」です。

SAP FIコンサルタントとして企業へコンサルティングを行うためには、その国の会計基準を知る必要があります。
日本の会計基準を理解するために、SAP FIを学びながら会計や簿記の勉強をする人も多くいるでしょう。

また、上場企業はグローバルの会計基準であるIFRS(International Financial Reporting Standards:国際会計基準)が求められています。
IFRSの会計基準も合わせて知っておく必要があるでしょう。

各種業務プロセスの知識

3つ目は「各種業務プロセスの知識」です。

本記事内で何度も出てきている通り、SAP FIは他モジュールの処理から会計仕訳を作成します。
そのため、他業務の業務プロセスもしっかりと理解しておく必要があります。

会計に関わる業務において、どのタイミングで会計仕訳が発生するのか、どう言った影響があるのかを、しっかりと他モジュールメンバーやクライアントの担当者に伝えます。

プロセスに紐づけて発生する仕訳を説明することで、会計側の専門家として存在感を発揮していくことが可能です。

SAP FIコンサルタントになるには

SAPシステムの中核であるSAP FIのコンサルタントになりたい人は数多くいます。
ここでは、SAP FIコンサルタントになるための方法をお伝えします。

具体的には以下のステップを踏むことで、SAP FIのコンサルタントになることが可能です。

  • SAP FIの認定コンサルタント資格を取得する
  • SAP FI導入案件に参加し経験を積む
  • FIだけでなく、FI以外のモジュール知識を広げる
  • フリーランスとして独立する

1つずつ解説していきます。

SAP FIの認定コンサルタント資格を取得する

最初のステップはSAP FIの認定コンサルタントの資格を取得することです。
SAP FIの知識は奥深いため、しっかりと基礎知識をつけないとSAPのコンサルタントとして働くことはできません。

また、SAPの認定コンサルタント資格を保有しておくことで、対外的にSAPの知識・スキルを保持していることが認められます。
資格取得しておくと転職や案件獲得にも有利に働くことが多いため、取得しておくことをおすすめします。

SAP FI導入案件に参加し経験を積む

知識やスキルを身につけたら、実際の案件に参加し実績を積みましょう。

SAP FIコンサルタントは業務整理や業務要件定義などを行いますが、はじめから要件定義などを自身で行うことは難しいです。
そのため、他のコンサルタントがやっている作業や進め方をしっかりと理解して身につけていく必要があります。

また、SAPコンサルタントは現在の業務を理解し、どこに課題があるのか、どうやって改善していくのかを決めていくことが役割です。
この経験から業務理解力、課題の洗い出し力、それに対する解決策の検討スキルをしっかりと高めていきましょう。

FIだけでなく、FI以外のモジュール知識を広げる

FIモジュールの理解力が高まってきたら、FI以外の他モジュール知識やスキルも獲得していきましょう。

SAP FIモジュールはSAPの中枢機能であり、FIが担当できるコンサルタントは正直なところ、世の中に数多くいます。
一方でFIとCOの両方の会計知識を知っている、FIに加えてSD/MMのどちらかを知っていれば、競争相手が一気に減ります。

FIに何かをかけあわせるだけで、自分の優位性が出てくるためぜひチャレンジして身につけてください。
おすすめは、FIに関連が強い、CO・PP・SDがよいでしょう。

フリーランスとして独立する

SAP FIのコンサルタントとしてそれなりの経験を積んだ後は、フリーランスとして独立できます。
フリーランスのSAP FIコンサルタントとして働くことで、自分にあったプロジェクトを選び、柔軟な働き方を実現可能です。

また、さまざまなクライアントやプロジェクトに関わることで、幅広い業界知識や経験を得られ、さらなるスキルアップを図れます。

SAPキャリアでは、SAP FIコンサルタント向けにフリーランス案件を紹介しています。
フリーランスのSAP FIコンサルタント案件を探している方は、ぜひご利用ください。

SAP FIコンサルタントの実際の案件

SAP FIコンサルタントとして募集されている実際の案件をいくつかピックアップしました。
どういう条件であれば働くことができるのか、もらえる金額はいくらなのかをぜひ確認してみてください。
※いずれもフリーランス案件のものです。

案件1:コーポレートシステムPJ S/4導入

こちらは社内システムとしてS/4を導入する案件となります。
実現化フェーズで、実際にアドオン開発やテスト、システム移行を担当します。

担当者として経験を積むためにおすすめの案件です。

案件名コーポレートシステムPJ S/4導入
モジュールFI
要スキルFI導入経験
月額単価130~160万円
稼働場所リモート
稼働時間140‐180時間
稼働日数週5日
役割実現化フェーズの対応(メンバーとして参画)
(アドオン設計、受入テスト、権限設計、JOB設計)

案件2:S/4HANA Cloud(Public Cloud)導入PJの会計コンサル

こちらの案件はS/4HANA Cloudという環境へ導入する会計コンサルの案件です。
FI導入時にコンサルティングを行いながら進めます。

またアドオンなしの導入なので、SAP標準機能のカスタマイズだけで進めることとなります。

どこまでカスタマイズができるのか、業務をどこまでSAPに寄せないといけないのかの線引を求められ、SAP標準の理解力を伸ばす案件としておすすめです。

案件名S/4HANA Cloud(Public Cloud)導入PJの会計コンサル
モジュールFI
要スキルFI導入経験
月額単価160~200万円
稼働場所リモート
稼働時間140‐180時間
稼働日数週5日
役割医療系サービス企業向けにS/4HANA Cloud(Public Cloud)を導入するFIメンバー
アドオンなしのFit to Standardのよる導入

案件3:SAP Public Cloudの(FI/CO)領域に関するコンサル支援

この案件はFI/COの2つのモジュールが絡む案件となります。
それぞれの機能を理解して、どう言った機能が実現できるのかという情報を提供することが求められます。

またこの案件はプリセールスからの参画で、どう言った機能や情報を提案すれば案件獲得ができるのかという営業面での勉強も可能です。

案件名SAP Public Cloudの(FI/CO)領域に関するコンサル支援
モジュールFI/CO
要スキルS/4 HANAの会計領域(FI/COモジュール)の知識
月額単価160~200万円
稼働場所オンサイト
稼働時間140‐180時間
稼働日数週5日
役割プリセールスからの参画。
プリセールス向け資料や顧客向けデモ等の支援

まとめ

SAP FIのコンサルタントの具体的な役割や、求められるスキルなどをご紹介しました。
SAP FIはSAPの中でも外すことができない重要な機能です。

SAP FIの導入を担う、SAP FIコンサルタントの仕事がなくなることはないでしょう。
FIモジュールの機能をしっかりと理解して、今後も安定的な需要を見込めるSAP FIコンサルタントを目指してみませんか。

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この記事を書いた人

SAPキャリアは、SAP人材に特化した人材サービスを展開しています。現在は主にSAPフリーランス向けに案件紹介をしています。ご興味がある方は是非SAPフリーランスバンクにご登録ください!

また、SAP技術情報を発信するSAPラボも運営しています。

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