この記事を読むメリット
- 購買発注の基本契約を用いた調達プロセスと基本契約伝票の作成方法が理解できます。
購買発注の基本契約ってなんだろう?そしてどうやって使うんだろう…?
ある仕入先からモノを調達する際に、金額などの取引条件についてあらかじめ取り決めておくことがあります。その情報をSAPでは基本契約を用いて管理することができます。
ここではSAPでの基本契約の概要、実際のSAPの画面を用いた基本契約の作成方法、そして基本契約から購買発注プロセスへの流れを解説します!
この記事のポイント
購買発注の基本契約の概要
購買の基本契約はサプライヤ(仕入先)と購買者間で定義された期間内に特定の商品やサービスを特定の条件、つまり金額や支払条件などを取り決めた条件です。SAPでは基本契約伝票として登録し、それを用いて購買発注を行います。
業務フロー
仕入先に対して、ある期間内に「〇〇円で売って下さい!」のような条件をSAPで基本契約伝票として作成します。
この基本契約伝票を元に購買発注伝票を作成することで基本契約の条件で仕入先からモノを仕入れることが可能となります。
また、カスタマイズにより基本契約伝票を承認するフローも設定することが可能です。基本契約伝票を承認する場合はT-CODE:ME35Kを用います。
期間を限定せずに金額等の条件が取り決めされた場合は購買情報マスタを使用することも可能です。
購買情報マスタについては以下を参照ください!
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基本契約の種類
購買における基本契約には大きく分けて以下の2種類が存在します。
- 数量契約
契約期間内に取り決めた条件で仕入れることができる数量の上限を定義することができます。
- 金額契約
契約期間内に取り決めた条件で仕入れることができる金額の上限を定義することができます。
基本契約の作成と購買発注の作成
ここでは数量契約・金額契約について基本契約を作成する手順と、基本契約を用いて購買発注伝票を作成する方法を解説します。
基本契約伝票の登録はT-CODE:ME31Kを使用します。
数量契約
基本契約の作成
数量契約の購買契約タイプ(ここでは標準で準備されている「MK」を使用)を選択します。
また、仕入先や購買組織データも入力する必要があります。
次にヘッダレベルで有効期間を入力します。ここで入力した期間内で基本契約の条件が有効となります。
また、支払条件等も指定が可能です。
次に明細データで仕入れる品目コードと金額、目標数量を入力します。
この目標数量を上限として、基本契約の条件で仕入れることが可能です。
※この目標数量を超えて基本契約伝票を用いて購買発注伝票を作成しようとすると、警告もしくはエラーが発生します。
基本契約から購買発注を作成
基本契約伝票から購買発注伝票を作成する方法としては購買発注伝票の明細に基本契約伝票と明細を入力する方法もありますが、ここでは基本契約伝票の参照画面から購買発注伝票を作成する方法を紹介します。
T-CODE:ME33Kから基本契約伝票を参照し、メニューの「基本契約>後続機能>契約リリース発注」を選択すると購買発注伝票作成画面に遷移します。すると左側に表示される伝票概要に基本契約伝票が表示されます。
適切な購買伝票タイプを選択した上で基本契約伝票をカートにドラッグ&ドロップすることで基本契約伝票の内容(品目明細や金額や支払条件等)が購買発注伝票にコピーされます。
以下のように基本契約伝票の情報が購買発注伝票に引き継がれていることが確認できます。
基本契約伝票に紐付く購買発注伝票の確認
基本契約伝票を用いて作成された購買発注伝票を確認する方法としては購買発注伝票の明細に基本契約伝票番号が設定されているかを確認する方法もありますが、ここでは基本契約伝票から紐付く購買発注伝票番号を確認する方法を紹介します。
T-CODE:ME33Kから基本契約伝票を参照し、メニューの「リリース文書」を選択します。
すると、基本契約伝票を基に作成された購買発注伝票の発注数量と発注金額を参照することができます。
金額契約
基本契約の作成
金額契約の購買契約タイプ(ここでは標準で準備されている「WK」を使用)を選択します。
また、仕入先や購買組織データも入力する必要があります。
次にヘッダレベルで有効期間を入力します。ここで入力した期間内で基本契約の条件が有効となります。
数量契約の時と同様に支払条件等も指定が可能です。
また、数量契約の場合は明細単位で目標数量を入力しましたが、金額契約ではヘッダレベルで目標金額を入力する必要があります。
※この目標金額を超えて基本契約伝票を用いて購買発注伝票を作成しようとすると、警告もしくはエラーが発生します。
次に明細データで仕入れる品目コードと金額を入力します。
基本契約伝票を用いた購買発注伝票の作成の仕方や、基本契約伝票に紐付く購買発注伝票の確認方法は数量契約の時と同様となります。