SAP Datasphereとは?3つの機能・BWなどとの違いや導入時のポイント

sap-datasphere

「SAPプロジェクトで『SAP Datasphere』って聞くけど、結局DWCやBWと何が違うの?」
「オンプレミスのBW環境が限界を迎えているが、クラウド移行をどう進めれば良いかわからない」
「データが各システムに散在し、横断的な分析に時間と手間がかかりすぎている」

これらの課題は、多くのSAPエンジニアやコンサルタントが直面する共通の悩みです。
データのサイロ化は迅速な意思決定を妨げ、旧来のシステムは現代のビジネススピードに対応しきれなくなりつつあります。

この記事では、そのような課題を解決する鍵となる「SAP Datasphere」について、その基本概念から具体的な機能、従来製品や競合との違い、そして導入を成功させるポイントまでを網羅的に解説します。

  • SAP Datasphereの全体像と核心的な価値
  • プロジェクトでDatasphereをどのように位置づけ、提案できるか
  • 自身のスキルセットを今後どのようにアップデートしていくべきか

単なる製品知識だけでなく、あなたの市場価値を高めるための戦略的な知見を得られます。

SAPフリーランスの新着案件

SD

【中堅製造業SAP新規導入(SD設計)】フルリモート/基本設計・オフショア連携

月額単価
1,000,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
設計
稼働率:
100%
作業内容:
現行のAS400システムからSAP(SD, MM, PP, FI, CO)への新規導入プロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの重要なフェーズである基本設計において、SDモジュールの設計作業を中心メンバーとして担当していただきます。特に、受注、出荷、ロット管理、在庫引当といったコアな業務領域が対象となります。 主な業務内容
  • SAP SDモジュール(受注、出荷、ロット管理、在庫引当)における基本設計書の作成
  • 要件定義に基づいた、システム機能の具体化
  • オフショア(大連)の開発チームへの設計内容の説明、およびQ&A対応
  • 関連ドキュメントの作成および更新

FI

【SAP FI運用保守(チームリード)】フルリモート/計画管理・海外展開支援

月額単価
1,200,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
運用・保守
稼働率:
100%
作業内容:
SAPシステムの安定稼働を支える運用保守プロジェクトです。 本ポジションでは、FIチームのリーダーとして、チーム全体の計画管理、作業・進捗・課題管理を担います。また、海外関係会社への展開支援や、引継ぎ期間におけるメンバーのサポートなど、グローバルな視点でのリーダーシップを発揮していただきます。 主な業務内容
  • 運用保守チームリーダーとしての計画管理、作業・進捗・課題管理
  • 海外関係会社への展開支援を含む、全体計画の策定と作業管理
  • 引継ぎ期間におけるメンバーの進捗・課題管理、および報告
  • お客様やチーム内の定例・臨時会議の主催、およびファシリテーション
  • 対応メンバーへの技術的・業務的サポート

BASIS

【SAP BASIS運用(サーバ/ストレージ監視)】東京・新橋(リモート併用)/監視・報告

月額単価
800,000円 / 月
稼働場所
東京都
業務領域
運用・保守
稼働率:
100%
作業内容:
インフラBPOサービスの一環として提供されている、SAPシステムの安定稼働を支えることがミッションです。 本ポジションでは、BASISの専門家として、SAPサーバーの利用率傾向やストレージの状況を定常的に監視し、顧客や関係者へ報告する一連の業務を主体的に担当していただきます。 主な業務内容
  • SAPサーバーの監視(CPU、メモリ、ディスク等の利用率の傾向分析)
  • SAPシステムのストレージ状況の監視、および定期的な報告作業
  • 監視結果に基づく、潜在的なリスクの報告や改善提案の支援
  • お客様や関連ベンダーとの調整、およびコミュニケーション

FI

【自動車部品メーカーSAP導入(FI-AA)】フルリモート/設計・カスタマイズ

月額単価
1,100,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
設計
稼働率:
100%
作業内容:
自動車部品メーカーの基幹システムとしてSAPを導入するプロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの重要な局面である要件定義後期から基本設計フェーズにおいて、FI-AA(固定資産)の専門家としてご参画いただきます。固定資産モジュールに関するカスタマイズやアドオン設計を中心メンバーとして担当していただきます。 主な業務内容
  • FI-AA(固定資産)モジュールに関するカスタマイズの設計、および実装
  • アドオン機能の基本設計、および設計書の作成
  • 要件定義の後期フェーズにおける、仕様の具体化および顧客との調整
  • 関連ドキュメントの作成および更新

BASIS

【SAP BASIS支援(RISE+BTP)】東京(リモート併用)/設計・構築・運用

月額単価
1,700,000円 / 月
稼働場所
東京都
業務領域
要件定義, 設計, テスト
稼働率:
100%
作業内容:
SAP RISE with SAPおよびBTPを基盤とした、次世代の基幹システムを構築する長期プロジェクトです。 本ポジションでは、インフラ・Basisチームの一員として、利用要件に基づく設定・コスト管理から、非機能要件定義、設計・構築、テスト、そして本稼働まで、システムの基盤に関する全工程を長期にわたり担当していただきます。 主な業務内容
  • SAP RISE+BTPの利用要件に基づく設定管理、およびコスト管理
  • 方式設計、および非機能要件定義(ジョブ管理、監視などの周辺システムを含む)
  • 設計、構築、テスト、そしてGo-Live(2028年3~4月予定)までの一貫した技術支援
  • 関連ベンダーや他チームとの連携、および調整業務

BASIS

【製造業SAPバージョンアップ(BASIS)】神奈川・横浜(リモート併用)/設計・構築・移行

月額単価
1,400,000円 / 月
稼働場所
神奈川県
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
製造業の基幹システムとして稼働している複数のSAP製品群(ECC, SRM, EP, MDM Java)のバージョンアッププロジェクトです。 本ポジションでは、BASISの専門家として、現行システムの安定性を確保しつつ、新バージョンへの円滑な移行を実現するための設計、構築、移行対応までの一連のプロセスを主体的に担当していただきます。 主な業務内容
  • SAPバージョンアップにおけるBASIS領域の設計(システムランドスケープ、サイジング等)
  • 新環境の構築、および各種パラメータ設定
  • SAP Kernelのアップデート対応
  • データ移行の計画策定、および実行支援
  • バージョンアップ後のシステムテスト、およびパフォーマンスチューニング

MM

【S/4HANA導入支援(MM移行)】東京・上野(基本リモート)/移行・テスト・課題対応

月額単価
1,300,000円 / 月
稼働場所
東京都
業務領域
設計, テスト, その他
稼働率:
100%
作業内容:
SAP S/4HANAの新規導入プロジェクトにおいて、MM(在庫購買管理)領域のデータ移行を成功させることがミッションです。 本ポジションでは、MMの専門家として、データ移行の実行からテスト、発生した課題への対応まで、移行フェーズにおける一連の業務を主体的に推進していただきます。 主な業務内容:
  • MM領域のマスタデータおよびトランザクションデータの移行支援
  • 移行後のデータ検証、およびテストの実施
  • 移行やテストで発生した課題の調査、分析、および解決策の提示
  • 関連チームとの連携、および進捗報告
  • 関連ドキュメントの作成および更新

MM

【製造業S/4HANA導入(MM)】フルリモート/要件定義

月額単価
1,500,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
製造業の基幹システムとしてSAP S/4HANAを新規に導入するプロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの初期段階である要件定義フェーズにおいて、MMコンサルタントとしてエンドユーザーとの要件定義から、要件定義書の作成、関連するカスタマイズまでを主体的に担当していただきます。 主な業務内容:
  • エンドユーザーとのディスカッションを通じた、MM領域の要件定義
  • 要件定義書の作成、および管理
  • Fit&Gap分析、および新業務プロセスの設計支援
  • SAP標準機能の調査、およびカスタマイズの検討・実施
  • 関連チームとの連携、および進捗報告

SD

【建設業S/4HANA導入(SD)】大阪(リモート併用)/AsIs-ToBe・アドオン定義

月額単価
1,250,000円 / 月
稼働場所
大阪府
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
建設業向けのSAP S/4HANA導入プロジェクトにおいて、受注・物流領域の業務プロセスを変革することがミッションです。 現在の「営業からの依頼に基づく受付業務(AsIs)」から、「手配状況を踏まえた納期調整を含む、能動的な受注調整窓口(ToBe)」へと進化させるための検討をリードし、必要なアドオン機能の要件定義を主体的に推進していただきます。 主な業務内容:
  • 受注・物流領域における、AsIsプロセスの分析およびToBeプロセスの設計
  • ToBeプロセス実現のためのFit&Gap分析、およびアドオン要件定義
  • 顧客担当者や関連部門とのディスカッション、ワークショップのファシリテーション
  • 要件定義書の作成、および管理
  • 開発チームへの設計内容の連携、およびQ&A対応

MM

その他

【製造業S/4HANA(MM/PS)】フルリモート(富山出張有)/アドオン要件定義

月額単価
1,100,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
製造業の基幹システムとしてSAP S/4HANAを導入するプロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの要件定義フェーズにおいて、MM(在庫購買管理)およびPS(プロジェクト管理)の専門家として、プロトタイプの検討からアドオン要件定義、カスタマイズ実装、外部設計まで、幅広い上流工程を主体的に推進していただきます。 主な業務内容:
  • 要件定義フェーズにおけるプロトタイプの作成、および業務フローの検討
  • MM/PS領域におけるアドオン機能の要件定義
  • 要件に基づくカスタマイズの実装
  • アドオン機能に関する外部設計書の作成
  • 顧客担当者や関連チームとの連携、調整
目次

SAP Datasphereとは?基本を分かりやすく解説

SAP Datasphereとは?基本を分かりやすく解説

SAP Datasphereは、単なるデータウェアハウス(DWH)の進化版ではありません。
企業のあらゆるデータ資産をビジネスの文脈で結びつけ、データドリブンな意思決定を加速させるための統合データプラットフォームです。
まずはその基本を理解していきましょう。

SAP Datasphereの概要

SAP Datasphereとは、SAPが提供するクラウドネイティブなデータ統合プラットフォームです。
SAP Business Technology Platform(BTP)上で稼働するSaaSソリューションであり、専門的な知識がなくとも、ビジネスユーザー自身がデータを自由に探索・分析できる環境を提供することを目的としています。

このプラットフォームは、SAPシステム内のデータはもちろん、さまざまな外部データソースとシームレスに連携できるのが大きな特徴です。
これにより、企業内に散在するデータを仮想的に統合し、一元的なデータアクセスを実現します。

従来製品の「Data Warehouse Cloud」との違い

SAP Datasphereは、従来提供されていた「SAP Data Warehouse Cloud(DWC)」の次世代版として位置づけられています。
単なる名称変更ではなく、機能とコンセプトが大幅に拡張されました。

DWCが主にデータウェアハウス機能に焦点を当てていたのに対し、Datasphereはデータ統合やデータガバナンス、セマンティックモデリングといった機能を強化しています。
これにより、単一の製品でデータ管理のライフサイクル全体をカバーできるようになりました。

比較項目SAP Data Warehouse CloudSAP Datasphere
コンセプトデータウェアハウス中心ビジネスデータファブリック
主な機能データモデリング、分析データ統合、カタログ、セマンティクス
連携性SAP中心オープンデータエコシステム
対象ユーザーIT部門、データアナリストビジネスユーザーを含む全社

このように、SAP Datasphereはより包括的でビジネス指向のプラットフォームへと進化を遂げているのです。

中核概念である「ビジネスデータファブリック」とは

ビジネスデータファブリックとは、SAP Datasphereが掲げる非常に重要なコンセプトです。
これは、組織内外に散在する様々なデータを、物理的に1か所に集めるのではなく、仮想的に連携させ、あたかも「一枚の布(ファブリック)」のように扱うアーキテクチャ思想を指します。

このアプローチの最大のメリットは、データの複製や移動を最小限に抑え、リアルタイム性と一貫性を保ちながら、必要な時に必要なデータへアクセスできる点です。
SAPは、このビジネスデータファブリックを実現するための中核としてSAP Datasphereを位置づけています。

引用元:SAPジャパン、データ環境をシンプルにする新製品「SAP Datasphere」を提供 – ZDNET Japan

SAP Datasphereの代表的な3つの機能

SAP Datasphereの代表的な3つの機能

SAP Datasphereがビジネスデータファブリックを実現するために、数多くの機能が搭載されています。
ここでは、その中でも特に重要となる3つの代表的な機能について見ていきましょう。
これらの機能が、データ活用のあり方を大きく変える力を持っています。

オープンデータエコシステム:あらゆるデータを統合・連携

SAP Datasphereの最も強力な機能のひとつが、そのオープン性です。
SAP S/4HANAや従来のSAP ERPといった基幹システムとの親和性が高いのはもちろんのこと、SAP以外のさまざまなデータソースとも容易に連携できます。

これは「オープンデータエコシステム」という考え方に基づいています。
具体的には、以下のような主要なデータプラットフォームやAIベンダーとの戦略的パートナーシップにより実現されているのです。

  • Collibra:データガバナンスの統合
  • Confluent:リアルタイムなデータストリーミング
  • Databricks:高度なデータ分析とAI/機械学習
  • DataRobot:自動化された機械学習プラットフォーム
  • Google Cloud:BigQueryとの連携による高速クエリ

これにより、企業は既存のデータ資産を最大限に活用しながら、最新のテクノロジーと組み合わせた高度なデータ活用が可能となります。

セマンティックレイヤー:ビジネスコンテキストを維持

セマンティックレイヤーは、技術的なデータ項目に「売上」「利益」「顧客数」といったビジネス上の意味(コンテキスト)を付与する機能です。
これにより、IT部門の専門家でなくとも、ビジネスユーザーが直感的にデータを理解し、分析できるようになります。

例えば、「TableAのCol1」のような技術的な名称ではなく、「年度別製品売上」といった分かりやすい名称でデータにアクセス可能です。
SAP Datasphereでは、SAP S/4HANAなどのSAPアプリケーションが持つセマンティック定義を自動で再利用できるため、価値実現までの時間を大幅に短縮します。

データガバナンスとセキュリティ

データの活用が進むほど、その品質やセキュリティを維持するためのガバナンスが重要になります。
SAP Datasphereは、企業が安心してデータを活用できるための強力なデータガバナンス機能を提供します。

主な機能は以下の通りです。

  • データカタログ:組織内のデータ資産を自動で発見し、一元的に管理。データの意味や出所を明確にする。
  • アクセス制御:ユーザーの役割や権限に応じて、データへのアクセスをきめ細かく制御。
  • データ品質管理:データの品質を監視し、一貫性と信頼性を担保するルールを設定。
  • コンプライアンス対応:GDPRなどの各種データ保護規制に対応するための機能を提供。

これらの機能により、データ活用の自由度と統制の両立を実現します。

SAP Datasphereと従来製品・競合製品との違い

SAP Datasphereと従来製品・競合製品との違い

SAP Datasphereを導入検討する上で、既存のSAP製品や市場の競合製品との違いを正確に理解することは不可欠です。
ここでは、それぞれの製品との比較を通じて、SAP Datasphere独自のポジションと強みを明らかにしていきます。

SAP Data Warehouse Cloud / BW/4HANAとの違い

SAP Datasphereは、SAPのデータウェアハウスソリューションの系譜に連なる製品ですが、従来製品とはアーキテクチャとコンセプトに大きな違いがあります。
具体的な違いは以下の通りです。

比較項目SAP BW/4HANASAP Datasphere
提供形態オンプレミス / IaaSSaaS
データ連携物理的なデータ統合(ETL)が中心仮想アクセスと物理統合のハイブリッド
対象データ主にSAPデータSAPデータ + 非SAPデータ
主な利用者IT部門、BW開発者ビジネスユーザー、データサイエンティスト
移行BWブリッジ機能で既存資産の再利用が可能

最大の違いは、BW/4HANAが物理的なデータ集約を前提としているのに対し、Datasphereはデータの仮想的な連携を重視している点です。
これにより、より柔軟かつ迅速なデータアクセスが可能となりました。

Snowflake, Azure Synapse, Databricksとの比較

SAP Datasphereは、多くのクラウドデータプラットフォームと競合します。
各製品にはそれぞれ特徴があり、用途によって最適な選択は異なります。

製品名主な強み特に適した用途
SAP DatasphereSAPシステムとの深い統合、ビジネスセマンティクスの維持SAP中心の環境での全社的なデータ活用
Snowflakeマルチクラウド対応、コンピューティングとストレージの分離多様なクラウド環境での大規模データ分析
Azure SynapseMicrosoft製品との親和性、分析機能の統合Azure中心の環境でのエンドツーエンド分析
DatabricksAI/機械学習機能、大規模データ処理(Sparkベース)データサイエンス、AIモデル開発

SAP Datasphereの最大の優位性は、SAP S/4HANAなどの基幹システムが持つビジネスコンテキストを損なうことなく、データ活用ができる点にあります。

SAP Datasphereの料金体系

SAP Datasphereの料金体系

SAP Datasphereの導入を検討する上で、料金体系の理解は重要な要素です。
従来の製品とは異なるクラウドサービスならではの課金モデルを採用しています。

ライセンスの種類

SAP Datasphereの料金は、主に「Capacity Unit(CU)」という単位に基づいたサブスクリプションモデルとなっています。
CUは、利用するコンピューティングリソース(CPU、メモリ)やストレージの容量を統合した消費単位です。

このモデルのメリットは以下の通りです。

  • 柔軟性:ワークロードの需要に応じてCUを柔軟にスケールアップ・ダウンできる。
  • シンプルさ:コンピューティングとストレージを個別に計算する必要がなく、管理が容易。
  • 予測可能性:事前に購入したCUの範囲内で利用するため、予算管理がしやすい。

利用規模に応じて必要なCU数が変動するため、導入前にサイジングを行うことが重要です。

SAP BTP経由での購入方法

SAP Datasphereは、SAP Business Technology Platform(BTP)上のサービスのひとつとして提供されており、購入もBTP経由で行います。
主な契約形態には、以下の2つがあります。

  • Pay-As-You-Go:
    初期費用なしで、実際に使用した分だけを支払う従量課金制のモデル。
    小規模なプロジェクトやPoC(概念実証)に適している。
  • CPEA (Cloud Platform Enterprise Agreement):
    事前に一定額のクレジットをまとめて購入し、BTP上の様々なサービスをそのクレジットから消費していくモデル。
    大規模な利用や複数サービスの利用が想定される場合にコストメリットがある。

どちらのモデルを選択するかは、企業の利用計画や規模によって異なります。

参考:SAP Discovery Center – SAP Datasphere

SAP Datasphereの導入事例

SAP Datasphereの導入事例

SAP Datasphereが実際のビジネス現場でどのように活用され、どのような成果を上げているのでしょうか。
ここでは、国内外の先進的な導入事例を3つ紹介します。

データサイロを解消し、リアルタイムな意思決定を実現(Hyundai Elevator社)

韓国の大手エレベーターメーカーであるHyundai Elevator社は、複数のシステムにデータが散在し、リアルタイムな経営状況の把握が困難という課題を抱えていました。

同社はSAP Datasphereを導入し、SAP S/4HANAや他の業務システムのデータを統合。
これにより、経営層は常に最新のデータに基づいた意思決定を行えるようになり、市場の変化への対応スピードが大幅に向上しました。

15か月でクラウド大変革を実現(Kemira)

化学業界のグローバルリーダーであるKemira社は、SAP DatasphereとSAP Analytics Cloudを導入し、15か月という短期間でデータプラットフォームのクラウドへの大変革を遂げました。

このプロジェクトにより、同社はデータ分析基盤を近代化し、ビジネスユーザーがセルフサービスでデータにアクセスし、インサイトを得られる環境を構築。
データ活用の民主化を推進し、イノベーションを加速させています。

IFRS対応と社内DX推進を同時に実現(野村総合研究所)

株式会社野村総合研究所(NRI)は、新たな収益認識基準(IFRS15号)への対応と、全社的なデジタルトランスフォーメーション(DX)推進という2つの目的のためにSAP Datasphereを導入しました。

SAP S/4HANA CloudとSAP Datasphereを連携させることで、複雑な会計基準に対応しつつ、営業から会計までのデータを一気通貫で分析できる基盤を構築。
これにより、ガバナンスの強化とデータに基づく戦略立案の両方を実現しています。

参考:SAPジャパン、データ統合基盤「SAP Datasphere」をリリース、複数のデータソースを仮想統合 | IT Leaders

SAP Datasphereの導入を成功させるためのポイント

SAP Datasphereの導入を成功させるためのポイント

SAP Datasphereは強力なツールですが、その導入を成功させるためにはいくつかの重要なポイントがあります。
ここでは、豊富なプロジェクト経験から見えてきた2つの重要な成功要因について解説します。

信頼できるパートナーを選定する

SAP Datasphereの導入は、単なるツールのインストールではありません。
既存のデータ環境の評価、将来のビジネスニーズを見据えたアーキテクチャ設計、そして効果的なデータモデリングなど、高度な専門知識が求められます。

そのため、SAP Datasphereに関する深い知見と豊富な導入実績を持つパートナーを選定することが極めて重要です。
パートナー選定の際は、以下の点を確認するとよいでしょう。

  • 自社の業界における導入実績
  • SAP BWからの移行に関する経験
  • SAP以外のデータソースとの連携に関する技術力
  • 導入後のトレーニングやサポート体制

信頼できるパートナーは、技術的な課題を解決するだけでなく、データ活用の文化を組織に根付かせるための力強い推進役となります。

スモールスタートで段階的に移行する

全社的なデータ基盤を一度に刷新しようとすると、プロジェクトが大規模化し、リスクも増大します。
導入を成功させるための現実的なアプローチは、「スモールスタート」です。

まずは特定の業務領域や部門にスコープを絞ってパイロットプロジェクトを開始し、そこで小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
このアプローチには、以下のようなメリットがあります。

  • リスクの低減:初期投資を抑え、技術的な課題を早期に洗い出せる。
  • 効果の可視化:短期間で具体的な成果を示すことで、経営層や関連部門の理解を得やすくなる。
  • 知見の蓄積:パイロットプロジェクトで得た知見やノウハウを、次のステップに活かせる。

小さな成功を積み重ねながら、段階的に適用範囲を拡大していくことが、全社的なデータ活用基盤の定着につながります。

まとめ

この記事では、SAP Datasphereの基本概念から主要機能、競合製品との比較、そして導入を成功させるためのポイントまでを網羅的に解説しました。

SAP Datasphereは、単なるSAP Data Warehouse Cloudの後継製品ではなく、ビジネスデータファブリックという先進的なコンセプトを実現するための中核的なプラットフォームです。
その最大の特徴は、SAPシステムとの深い親和性を保ちつつ、様々な外部データソースとも連携できるオープン性にあります。

これにより、企業はサイロ化されたデータを仮想的に統合し、ビジネスの文脈を維持したまま、信頼性の高いデータにアクセスできるようになります。
SAPエンジニアやコンサルタントにとって、SAP Datasphereを理解することは、今後のデータ活用プロジェクトを成功に導き、自身のキャリアをさらに発展させる上で不可欠といえるでしょう。

この記事が、あなたのSAP Datasphereへの理解を深める一助となれば幸いです。

SAPフリーランスの新着案件

SD

【中堅製造業SAP新規導入(SD設計)】フルリモート/基本設計・オフショア連携

月額単価
1,000,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
設計
稼働率:
100%
作業内容:
現行のAS400システムからSAP(SD, MM, PP, FI, CO)への新規導入プロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの重要なフェーズである基本設計において、SDモジュールの設計作業を中心メンバーとして担当していただきます。特に、受注、出荷、ロット管理、在庫引当といったコアな業務領域が対象となります。 主な業務内容
  • SAP SDモジュール(受注、出荷、ロット管理、在庫引当)における基本設計書の作成
  • 要件定義に基づいた、システム機能の具体化
  • オフショア(大連)の開発チームへの設計内容の説明、およびQ&A対応
  • 関連ドキュメントの作成および更新

FI

【SAP FI運用保守(チームリード)】フルリモート/計画管理・海外展開支援

月額単価
1,200,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
運用・保守
稼働率:
100%
作業内容:
SAPシステムの安定稼働を支える運用保守プロジェクトです。 本ポジションでは、FIチームのリーダーとして、チーム全体の計画管理、作業・進捗・課題管理を担います。また、海外関係会社への展開支援や、引継ぎ期間におけるメンバーのサポートなど、グローバルな視点でのリーダーシップを発揮していただきます。 主な業務内容
  • 運用保守チームリーダーとしての計画管理、作業・進捗・課題管理
  • 海外関係会社への展開支援を含む、全体計画の策定と作業管理
  • 引継ぎ期間におけるメンバーの進捗・課題管理、および報告
  • お客様やチーム内の定例・臨時会議の主催、およびファシリテーション
  • 対応メンバーへの技術的・業務的サポート

BASIS

【SAP BASIS運用(サーバ/ストレージ監視)】東京・新橋(リモート併用)/監視・報告

月額単価
800,000円 / 月
稼働場所
東京都
業務領域
運用・保守
稼働率:
100%
作業内容:
インフラBPOサービスの一環として提供されている、SAPシステムの安定稼働を支えることがミッションです。 本ポジションでは、BASISの専門家として、SAPサーバーの利用率傾向やストレージの状況を定常的に監視し、顧客や関係者へ報告する一連の業務を主体的に担当していただきます。 主な業務内容
  • SAPサーバーの監視(CPU、メモリ、ディスク等の利用率の傾向分析)
  • SAPシステムのストレージ状況の監視、および定期的な報告作業
  • 監視結果に基づく、潜在的なリスクの報告や改善提案の支援
  • お客様や関連ベンダーとの調整、およびコミュニケーション

FI

【自動車部品メーカーSAP導入(FI-AA)】フルリモート/設計・カスタマイズ

月額単価
1,100,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
設計
稼働率:
100%
作業内容:
自動車部品メーカーの基幹システムとしてSAPを導入するプロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの重要な局面である要件定義後期から基本設計フェーズにおいて、FI-AA(固定資産)の専門家としてご参画いただきます。固定資産モジュールに関するカスタマイズやアドオン設計を中心メンバーとして担当していただきます。 主な業務内容
  • FI-AA(固定資産)モジュールに関するカスタマイズの設計、および実装
  • アドオン機能の基本設計、および設計書の作成
  • 要件定義の後期フェーズにおける、仕様の具体化および顧客との調整
  • 関連ドキュメントの作成および更新

BASIS

【SAP BASIS支援(RISE+BTP)】東京(リモート併用)/設計・構築・運用

月額単価
1,700,000円 / 月
稼働場所
東京都
業務領域
要件定義, 設計, テスト
稼働率:
100%
作業内容:
SAP RISE with SAPおよびBTPを基盤とした、次世代の基幹システムを構築する長期プロジェクトです。 本ポジションでは、インフラ・Basisチームの一員として、利用要件に基づく設定・コスト管理から、非機能要件定義、設計・構築、テスト、そして本稼働まで、システムの基盤に関する全工程を長期にわたり担当していただきます。 主な業務内容
  • SAP RISE+BTPの利用要件に基づく設定管理、およびコスト管理
  • 方式設計、および非機能要件定義(ジョブ管理、監視などの周辺システムを含む)
  • 設計、構築、テスト、そしてGo-Live(2028年3~4月予定)までの一貫した技術支援
  • 関連ベンダーや他チームとの連携、および調整業務

BASIS

【製造業SAPバージョンアップ(BASIS)】神奈川・横浜(リモート併用)/設計・構築・移行

月額単価
1,400,000円 / 月
稼働場所
神奈川県
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
製造業の基幹システムとして稼働している複数のSAP製品群(ECC, SRM, EP, MDM Java)のバージョンアッププロジェクトです。 本ポジションでは、BASISの専門家として、現行システムの安定性を確保しつつ、新バージョンへの円滑な移行を実現するための設計、構築、移行対応までの一連のプロセスを主体的に担当していただきます。 主な業務内容
  • SAPバージョンアップにおけるBASIS領域の設計(システムランドスケープ、サイジング等)
  • 新環境の構築、および各種パラメータ設定
  • SAP Kernelのアップデート対応
  • データ移行の計画策定、および実行支援
  • バージョンアップ後のシステムテスト、およびパフォーマンスチューニング

MM

【S/4HANA導入支援(MM移行)】東京・上野(基本リモート)/移行・テスト・課題対応

月額単価
1,300,000円 / 月
稼働場所
東京都
業務領域
設計, テスト, その他
稼働率:
100%
作業内容:
SAP S/4HANAの新規導入プロジェクトにおいて、MM(在庫購買管理)領域のデータ移行を成功させることがミッションです。 本ポジションでは、MMの専門家として、データ移行の実行からテスト、発生した課題への対応まで、移行フェーズにおける一連の業務を主体的に推進していただきます。 主な業務内容:
  • MM領域のマスタデータおよびトランザクションデータの移行支援
  • 移行後のデータ検証、およびテストの実施
  • 移行やテストで発生した課題の調査、分析、および解決策の提示
  • 関連チームとの連携、および進捗報告
  • 関連ドキュメントの作成および更新

MM

【製造業S/4HANA導入(MM)】フルリモート/要件定義

月額単価
1,500,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
製造業の基幹システムとしてSAP S/4HANAを新規に導入するプロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの初期段階である要件定義フェーズにおいて、MMコンサルタントとしてエンドユーザーとの要件定義から、要件定義書の作成、関連するカスタマイズまでを主体的に担当していただきます。 主な業務内容:
  • エンドユーザーとのディスカッションを通じた、MM領域の要件定義
  • 要件定義書の作成、および管理
  • Fit&Gap分析、および新業務プロセスの設計支援
  • SAP標準機能の調査、およびカスタマイズの検討・実施
  • 関連チームとの連携、および進捗報告

SD

【建設業S/4HANA導入(SD)】大阪(リモート併用)/AsIs-ToBe・アドオン定義

月額単価
1,250,000円 / 月
稼働場所
大阪府
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
建設業向けのSAP S/4HANA導入プロジェクトにおいて、受注・物流領域の業務プロセスを変革することがミッションです。 現在の「営業からの依頼に基づく受付業務(AsIs)」から、「手配状況を踏まえた納期調整を含む、能動的な受注調整窓口(ToBe)」へと進化させるための検討をリードし、必要なアドオン機能の要件定義を主体的に推進していただきます。 主な業務内容:
  • 受注・物流領域における、AsIsプロセスの分析およびToBeプロセスの設計
  • ToBeプロセス実現のためのFit&Gap分析、およびアドオン要件定義
  • 顧客担当者や関連部門とのディスカッション、ワークショップのファシリテーション
  • 要件定義書の作成、および管理
  • 開発チームへの設計内容の連携、およびQ&A対応

MM

その他

【製造業S/4HANA(MM/PS)】フルリモート(富山出張有)/アドオン要件定義

月額単価
1,100,000円 / 月
稼働場所
フルリモート
業務領域
要件定義
稼働率:
100%
作業内容:
製造業の基幹システムとしてSAP S/4HANAを導入するプロジェクトです。 本ポジションでは、プロジェクトの要件定義フェーズにおいて、MM(在庫購買管理)およびPS(プロジェクト管理)の専門家として、プロトタイプの検討からアドオン要件定義、カスタマイズ実装、外部設計まで、幅広い上流工程を主体的に推進していただきます。 主な業務内容:
  • 要件定義フェーズにおけるプロトタイプの作成、および業務フローの検討
  • MM/PS領域におけるアドオン機能の要件定義
  • 要件に基づくカスタマイズの実装
  • アドオン機能に関する外部設計書の作成
  • 顧客担当者や関連チームとの連携、調整
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この記事を書いた人

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